被告人Aに対する生命身体加害略取,逮捕監禁,傷害,窃盗,被告人Bに対する生命身体加害略取,逮捕監禁,傷害各被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人Aが、被害者(当時48歳)の言動により面目をつぶされたとして制裁を加える目的で、被告人Bとともに被害者宅に押し入り、顔面等を殴打するなどの暴行を加えた上、車両の後部座席に乗せて結束バンドで緊縛し目隠しをして連れ去った生命身体加害略取、逮捕監禁、傷害及び窃盗の事案である。被告人両名はさらに共犯者Eと合流し、被害者を全裸にして複数人で殴る蹴るの暴行を加え、被告人Aがアイスピックで大腿部等を突き刺すなどした。被告人Aは被害者を約27時間以上にわたり監禁し続け、その間も暴行を加えた。被害者は胸骨骨折、右頬骨骨折、顔面打撲・皮下気腫、両大腿多発刺創等の全治約3か月の重傷を負った。また、被告人Aは犯行中に被害者の財布(現金約20万8000円在中)を窃取した。 【争点】 第一に、窃盗について、被害品の内容(財布に20万8000円が入っていたか)及び被告人Aの不法領得の意思の有無が争われた。弁護人は、被告人Aは財布を被害者から一時預かっていたにすぎないと主張した。第二に、逮捕監禁・傷害の一部について、被告人Bの共謀の有無が争われた。弁護人は、土場でのアイスピックによる突き刺し、自動車内での結束バンドによる緊縛及び顔面殴打について、被告人Bは全く関与しておらず共謀を欠くと主張した。 【判旨(量刑)】 窃盗について、裁判所は、被害者が勤務先社長から20万円を前借りしたことが証言及び前借一覧表で裏付けられていること、ファストフード店で約20万8000円の在中を確認した経緯が同行者の証言と整合すること、薬局の防犯カメラ映像が被害者の財布からの支払いを裏付けていること等から、被害者証言の信用性は高いと認定した。被告人Aの「運転免許証のために預かっていた」との弁解は、重傷を負わせた直後の被害者に車を運転させようとすること自体不合理であるとして排斥し、不法領得の意思を認定した。被告人Bの共謀について、裁判所は、被告人Bが犯行当初から被告人Aに同行して自ら暴行を加えていたこと、凶器使用を制限する合意がなかったこと、車内という狭い空間で暴行を認識しないことは考え難いこと等から、アイスピックでの突き刺しや車内での暴行も共謀の範囲内であると認定した。量刑については、犯行態様が非常に悪質であり、被害者が重傷を負い多大な精神的苦痛も被ったとした上で、被告人Aは犯行を主導し27時間以上の監禁を行った責任が特に重いとし、被告人Bは従属的立場ながら積極的に暴行に加わった重要な役割を担ったとして、被告人Aを懲役5年(求刑懲役6年)、被告人Bを懲役3年(求刑懲役4年)に処した。