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知財

発信者情報開示請求控訴事件

判決データ

事件番号
令和3ネ10030
事件名
発信者情報開示請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2021年10月7日
裁判官
本多知成浅井憲中島朋宏
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 被控訴人(原告)は漫画家であり、控訴人(被告)はインターネット接続サービスを提供する特定電気通信役務提供者(ソフトバンク株式会社)である。被控訴人は、ファイル共有ソフト「BitTorrent」を利用して被控訴人の著作する漫画の電子データが送信又は送信可能化されたことにより、自己の著作権(公衆送信権又は送信可能化権)が侵害されたことが明らかであるとして、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、控訴人に対して発信者情報の開示を求めた。原審(東京地方裁判所)は被控訴人の請求を全部認容したため、控訴人がこれを不服として控訴した。 BitTorrentは、ファイルを断片化した「ピース・ファイル」を複数の利用者間で分散して送受信する仕組みのファイル共有ソフトであり、利用者はファイルをダウンロードすると同時に、「トラッカー」と呼ばれる管理サーバーに対して当該ファイルが送信可能であることを通知(本件通知)し、他の不特定の利用者からの要求に応じてピース・ファイルを送信し得る状態に置かれる。 【争点】 主な争点は以下の3点である。第1に、BitTorrentにおける発信者端末とトラッカー間の通知がプロバイダ責任制限法2条1号の「特定電気通信」に該当するか。控訴人は、本件通知は発信者端末とトラッカーとの間の一対一対応の通信にすぎず、不特定の者によって受信されることを目的とする通信ではないと主張した。第2に、権利侵害の明白性について、控訴人は、被控訴人代理人が自らダウンロードを行って調査したことが権利侵害の状態を自ら創出したものであること、及びピース・ファイルは元の漫画ファイルを断片化したものであり著作物に当たらないことを主張した。第3に、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無が争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却し、原判決を維持した。まず権利侵害の明白性について、発信者らはトラッカーに対して本件データが送信可能であることを通知し、他の不特定の利用者からの要求があればピース・ファイルをいつでも送信し得る状態に置いたのであるから、本件通知により本件データを送信可能化したものと認定した。控訴人の主張する「ダウンロード行為により送信可能化が完成する」との点については、単にデータをダウンロードしただけでは送信可能化は完成せず、トラッカーに対する通知により初めて不特定の者への送信可能化が実現されるとした。また、ピース・ファイルが断片化されたものであっても、利用者はピース・ファイルを順次受信することでファイル全体を取得できるため、権利侵害の結論を左右しないと判示した。 「特定電気通信」該当性については、最終的に不特定の者に受信されることを目的とする情報の流通行為に必要不可欠な電気通信の送信は、たとえ一対一対応の通信であっても同号の「特定電気通信」に該当すると解するのが相当であるとの法解釈を示した。ファイル共有ソフトが著作権侵害態様で用いられる場合に、当該通信が一対一対応であるという理由だけで「特定電気通信」に該当しないとすれば、加害者の特定を可能にして被害者の権利救済を図るという同法の趣旨を没却すると述べ、本件通知は「特定電気通信」に該当すると判断した。本判決は、BitTorrentを用いた著作権侵害に対する発信者情報開示の可否について知財高裁が判断を示した重要な裁判例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。