損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ3236
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年10月13日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 三村義幸、中丸隆、三村義幸
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 平成27年7月26日、東京都調布飛行場から小型飛行機(パイパーPA-46型)が離陸した直後、住宅地に墜落し、機長を含む搭乗者3名及び住宅にいた被控訴人(原告)の長女が死亡、被控訴人及び搭乗者3名が重軽傷を負った事故について、被控訴人が、飛行機を所有し小型飛行機愛好家団体「マリブクラブ」の運営を担当していた控訴人(被告)に対し、民法715条1項(使用者責任)又は同法709条(運航管理担当者の設置義務違反)に基づき、約9516万円の損害賠償を請求した事案の控訴審である。原審は、控訴人が航空運送事業を経営しながら運航管理担当者を設置しなかった過失を認め、約7549万円の支払を命じたところ、控訴人が控訴した。控訴人は、事故機の離陸重量は最大離陸重量(1950kg)を超過しておらず事故は機長の操縦判断によるものであること、また機長はSIP Aviation株式会社を設立して独立しており控訴人は航空運送事業を経営していなかったことなどを主張した。 【争点】 (1) 機長の過失の有無(事故原因) (2) 控訴人と機長との間の実質的な指揮監督関係の有無(使用者責任) (3) 控訴人が航空運送事業を経営していたか否か(運航管理担当者設置義務違反) 【判旨】 控訴認容(原判決中控訴人敗訴部分を取消し、被控訴人の請求を棄却)。裁判所はまず、機長の過失について、運輸安全委員会の事故調査報告書を詳細に検討した上で、飛行規程で求められるリフトオフ速度(78kt)未満の約73ktで離陸し、離陸直後に速度低下に対応して機首下げを行うべきところ過度な機首上げを継続してバックサイド飛行状態に陥り墜落に至った点に過失を認定した。他方、離陸重量超過については、控訴人が当審で提出した搭乗者の体重、着衣、所持品及び燃料量に関する具体的証拠を検討し、離陸重量は最大でも約1927.9kgにとどまり最大離陸重量1950kgを超過していたとは認められないとして、事故調査報告書の約58kg超過との推定には疑義があるとした。使用者責任については、機長がSIPを設立して控訴人を退職した後は、SIPが独自に顧客を開拓しフライト営業を行い、外注費の値上げ交渉を行うなど独立した事業を営んでいたこと、控訴人も企業会計上外注費として処理し、フライトの連絡も機長に直接行わせていたことなどから、控訴人と機長との間に実質的な指揮監督関係があったとは認められないとした。また、709条に基づく請求についても、控訴人が航空運送事業を経営していたとまでは認められないとして、いずれの請求も棄却した。