発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、自身が管理運営するインスタグラムのアカウントに、自らの意見を述べた文章(元投稿記事)と自ら撮影した写真(元投稿写真)を投稿していた。氏名不詳者(本件投稿者)は、令和3年3月4日、これらの文章及び写真を複製し、匿名掲示板「5ちゃんねる」上に「フェミニストが腋毛をアピール」等のスレッドタイトルを付して投稿した。原告は、本件投稿者に対する損害賠償請求のため、経由プロバイダである被告(ソフトバンク株式会社)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、本件投稿者の氏名、住所、電話番号及び電子メールアドレスの開示を求めた。 【争点】 (1) 元投稿記事及び元投稿写真の著作権者が原告であるか。被告は、元投稿写真が一見して原告自身が撮影したものには見えないと争った。 (2) 権利侵害の明白性。被告は、本件投稿はスレッドタイトルとの関係で著作権法32条1項の引用に該当し、また、原告がハッシュタグを付して拡散を意図していたことから転載を禁止していないと主張した。 (3) 開示対象の範囲。被告は、氏名及び住所の開示で足り、電話番号及び電子メールアドレスの開示を受けるべき正当な理由はないと主張した。 【判旨】 請求認容。裁判所は、まず争点(1)について、写真撮影報告書等の証拠から、原告がスマートフォンのタイマー機能や三脚を利用して自ら撮影したものと認定し、元投稿写真の著作者は原告であると認めた。元投稿記事についても、写真に写る人物が原告であること等から著作者は原告と認めた。 争点(2)について、本件投稿記事は元投稿記事の一部及び元投稿写真のみからなり、本件投稿者が自己の作品中に他人の著作物として区分して批評等の目的で利用しているものではないとして、引用の成立を否定した。スレッドタイトルと投稿を一体として捉える被告の主張についても、スレッドタイトルは特定スレッドのタイトルにすぎず投稿と直ちに一体とはいえないとし、仮に一体と捉えても、スレッドタイトルがごく簡単に事実を述べるだけであるのに対し、投稿は元投稿記事のほぼ全て及び写真を利用しており、引用の目的上正当な範囲内とは認められないと判断した。また、ハッシュタグの付与は投稿先サービスでの閲覧拡大の希望を推認させるにとどまり、別途の複製・転載の許容とは認められないとした。 争点(3)について、被告が保有する氏名及び住所が必ずしも正確とは限らないことから、電話番号及び電子メールアドレスについても発信者の特定に資する情報として開示を受けるべき正当な理由があると認めた。