著作権侵害行為差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人会社(SUGOIKAIGI LLC)は、会議運営のノウハウを記載した「すごい計画作成キット」と題するワークブック(原告ワークブック)を保有していた。被控訴人らは「侍会議」と称する会議のワークショップ及びコンサルティング業務において、独自のレジュメ(被告レジュメ)を使用していた。控訴人会社は、被告レジュメが原告ワークブックの著作権(複製権・翻案権)を侵害するとして差止め・廃棄・損害賠償を求めたほか、「会議が変わる。会社が変わる。」というキャッチコピーの著作権侵害、原告ワークブックに記載されたノウハウの営業秘密としての不正使用(不正競争防止法2条1項7号・8号)を主張した。また、控訴人Xは、被告レジュメの使用が著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害に当たるとして損害賠償を求めた。原審(東京地裁)は全請求を棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 (1) 原告ワークブックに係る著作権(複製権・翻案権)侵害の成否 (2) 原告ワークブックに係る著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)侵害の成否 (3) 原告キャッチコピーに関する著作権侵害の成否 (4) 本件各ノウハウに関する不正競争の成否 【判旨】 知財高裁は、控訴をいずれも棄却した。争点(1)について、裁判所は、著作物の複製・翻案が認められるためには、原告ワークブックと被告レジュメとの間で「創作的表現」が共通することが必要であるとの判断枠組みを示した上で、被告記述部分1ないし24の各記述と原告記述部分との対比を詳細に行った。その結果、会議の約束事の取決め方、会議手法としての質問の投げかけ方、目標設定や役割分担の進め方といった共通部分はいずれも「アイデア」にとどまり、「表現それ自体」ではないと認定した。また、「あなたが言うには」「言えない問題」「ひどい真実」等の共通する語句についても、平易な言葉の一般的な組合せであり、ありふれた表現にすぎず創作性は認められないとした。さらに、ワークブック全体の構成(約束事の確認→成果の確認→問題の洗い出し→目標設定→役割分担→アクションプラン策定という流れ)の共通性についても、会議の項目選択と順序に関するアイデアそのものであって表現ではないと判断した。争点(2)ないし(4)についても原審の判断を維持し、全請求を棄却した原判決は相当であるとした。機能的著作物における表現とアイデアの区別について詳細な判断を示した裁判例である。