発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、自身の体重減量の経過を記録するため、令和2年8月から令和3年1月にかけて自室で裸の上半身を撮影した写真3枚をツイッターに投稿していた。ところが、令和3年1月28日及び29日、2つの異なるツイッターアカウントにより、原告の写真が無断でダウンロードされた上、「まず部屋片付けろや」「ゴミ屋敷の住人やから免疫力強いんかな」等の侮辱的なコメントとともに再投稿された。原告は、ツイッター社から各アカウントのログインに係るIPアドレスの開示を受け、当該IPアドレスを割り当てていた経由プロバイダであるKDDI株式会社(被告)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者の氏名・住所・電話番号等の開示を求めた。 【争点】 (1) 原告の写真に著作物性が認められ、著作権侵害が明らかといえるか。被告は、写真はカメラの機械的作用に依存したもので創作性がなく、また原告自身がツイッターに公開していた以上、第三者による複製・公衆送信を包括的に許容していたと主張した。 (2) 投稿後のログインに係るIPアドレスから把握される発信者情報が、「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか。被告は、ログインは投稿に先立つものであるから、投稿後のログインに係る情報は発信者情報に当たらないと主張した。 (3) 原告に発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか。被告は、原告がツイッター上で過激な発言をしたり、別件で知り得た発信者情報を公開したりしていることから、情報を不当に使用する意図があると主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも認容した。争点(1)について、各写真は原告の腹部の状態とその変化が際立って見えるよう工夫がされ、構図・カメラアングルの設定等において原告の思想等を創作的に表現したものであり著作物に該当すると認定した。ツイッターに著作物を投稿したことをもって、規約に基づかない利用について包括的に第三者に許諾を与えたとはいえないとして、著作権(複製権・公衆送信権)の侵害が明らかであると判断した。争点(2)について、プロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係る」発信者情報には、侵害情報の送信そのものに係るもののみならず関連するものも含まれると解した上で、各ログインは投稿から数日以内にされたものであり、ログインした者が投稿したことを否定しておらず、アカウントが複数人により共用されていた事情も認められないことから、投稿者と同一人物によるログインと推認でき、侵害情報の送信に関連する発信者情報に該当すると判断した。争点(3)について、原告が他の利用者との紛争で相手を罵倒する等の行為があったとしても、発信者の名誉等を不当に害する目的で情報を用いる意図があるとまでは認められず、正当な理由があると認めた。