特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「鞄」とする特許権(特許第6482515号)及び意匠に係る物品を「かばん」とする意匠権(意匠登録第1579921号)を有する原告(衣服・雑貨等の販売会社)が、被告(日用雑貨等の輸入販売会社)に対し、被告が企画した「レジカゴデイパック」と称する商品が原告の特許発明の技術的範囲に属し、かつ原告の登録意匠に類似するとして、特許権及び意匠権に基づき、被告製品の使用・譲渡・貸渡し等の差止め及び廃棄を求めた事案である。被告製品は、スーパーマーケット等のレジカゴの内側に装着して精算済みの商品を収容し、開口部を閉じた後に手提げ又はリュックサックとして持ち運べる構造の鞄である。被告は令和元年5月頃、中国の製造業者にレジカゴデイパックの製造を発注し、サンプル3個を取得してヒロ社に交付した。ヒロ社は合計2万5000個を発注し代金を支払ったが、被告が資金ショートを起こして製造代金を中国の製造業者に支払えなくなり、製品の輸入は頓挫した。最終的にヒロ社が自ら中国の商社を通じて製造代金を支払い、製品を輸入・販売した。 【争点】 1. 被告がヒロ社に対し被告製品を譲渡又は譲渡の申出をしたか否か。原告は売買契約の成立や代金支払の事実等から被告による譲渡があったと主張し、被告は資金ショートにより輸入・販売が不履行に終わったと反論した。 2. 差止め及び廃棄の必要性。被告は令和元年8月以降貿易業務を行っていないと主張した。 【判旨】 裁判所は、本件サンプル品を除く被告製品を中国から輸入したのはヒロ社であり、被告がヒロ社に被告製品を譲渡したとは認められないとした。ヒロ社が中国の製造業者に支払った製造代金は、被告との契約に基づくものではなく、製造業者とヒロ社側との別個の契約に基づくものであると認定した。もっとも、サンプル品3個については被告が製造業者から受領してヒロ社に交付したものであるから、業として譲渡したものと認定し、また被告はサンプル品を譲渡して受注活動を行ったのであるから、業として譲渡の申出をしたものと認めた。差止請求については、被告が被告製品を発注しヒロ社から代金を受領していた経緯から、なお侵害のおそれがあるとして認容した。他方、廃棄請求については、被告は被告製品を輸入しておらず現に保有しているとは認められないとして棄却した。