地位確認等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ973
- 事件名
- 地位確認等請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年11月4日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 清水響、川畑正文、佐々木愛彦
- 原審裁判所
- 神戸地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(建材メーカー)は、業務請負会社であるライフ社との間で業務請負契約を締結し、自社の伊丹工場の巾木工程及び化成品工程(接着剤製造)において、ライフ社の従業員に製品の製造業務に従事させていた。控訴人ら5名はライフ社の従業員として、長い者で約18年にわたり被控訴人の工場で稼働していた。控訴人らは、被控訴人とライフ社との間の業務請負契約は実質的に労働者派遣(いわゆる偽装請負)であり、労働者派遣法40条の6第1項5号に基づき、被控訴人が労働契約の申込みをしたものとみなされるとして、控訴人らの承諾により被控訴人との間に労働契約が成立したと主張し、地位確認及び賃金の支払を求めた。原審(神戸地裁)は控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 1. 巾木工程及び化成品工程が偽装請負等の状態にあったか 2. 被控訴人に偽装請負等の目的(労働者派遣法の規制を免れる目的)があったか 3. 控訴人らの労働条件(期間の定めの有無等) 4. 控訴人Eの承諾の意思表示の時期 【判旨】 控訴審は原判決を取り消し、控訴人らの請求を認容した。まず争点1について、裁判所は、被控訴人の技術スタッフがライフ社の従業員に対し具体的な作業手順を指示する「伝達事項」を作成・交付していたこと、リップ会議の開催やダイスの分解掃除について被控訴人の従業員が直接指示していたこと、週間製造日程表を被控訴人の技術スタッフが修正することもあったこと、原材料は全て被控訴人が供給し製造機械も月額2万円で貸与していたこと、ライフ社独自の品質検査は行われていなかったこと等を認定し、労働者派遣と請負の区分基準のいずれの要件も満たさず、偽装請負等の状態にあったと判断した。争点2について、裁判所は、日常的かつ継続的に偽装請負等の状態を続けていた場合には特段の事情がない限り偽装請負等の目的が推認されるとの判断枠組みを示した上で、平成11年頃から長年にわたり偽装請負が継続していた経緯等から、被控訴人に偽装請負等の目的があったと認定した。争点3について、ライフ社の社長自身が「ウチは有期雇用じゃない」と述べていたこと等から、控訴人ら全員の労働契約は期間の定めがなかったと認定した。争点4について、控訴人Eの承諾は他の控訴人らより遅れたが、派遣元との労働契約が終了していても法定の1年の期間内であれば承諾が可能であるとして、労働契約の成立を認めた。本判決は、労働者派遣法40条の6第1項5号(偽装請負に対する労働契約申込みみなし制度)の適用を初めて認めた高裁判決として重要な意義を有する。