AI概要
【事案の概要】 本件は、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェア等のアプリケーションプログラムの著作権者である原告(オートデスク・インク)が、被告に対し、著作権侵害に基づく損害賠償を求めた事案である。被告は、平成26年頃から、海外サイトで原告製品の海賊版を無料でダウンロードし、インターネットオークションサイト「ヤフオク!」において、ライセンス認証を回避する不正プログラムやインストール用マニュアルを添付した上で海賊版製品を繰り返し販売していた。被告はこの行為の一部について著作権法違反等の罪で起訴され、懲役1年8月(執行猶予3年)及び罰金50万円の有罪判決を受けている。原告は、著作権法114条3項に基づき、使用許諾料相当額の損害合計約11億6000万円の一部として6000万円及び遅延損害金の支払を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告販売行為による不法行為の成否、(2)被告の故意の有無、(3)損害額の算定(著作権法114条3項の使用許諾料相当額として原告製品の定価を基準とすべきか)、(4)損益相殺の可否、(5)過失相殺の可否(原告が海賊版の横行を認識しながら放置していた点)、(6)消滅時効の成否である。被告は、損害額について原告製品の定価ではなく利用料率を介在させるべきと主張し、また原告が海賊版の出品状況を認識しながら措置を講じなかった点を捉えて過失相殺や消滅時効を主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全額認容した。不法行為の成立及び被告の故意については明らかであるとした。損害額の算定については、被告がライセンス認証を回避する不正プログラムを添付して販売しており、落札者が使用期間の制限なく海賊版製品を使用できたことから、原告製品の永久ライセンス版の定価をもって著作権法114条3項の使用許諾料相当額とするのが相当であると判断した。被告が主張した動作環境との適合性やセキュリティソフトとの相性による使用制限の可能性は、損害額の算定に影響しないとした。損益相殺については、使用許諾料相当額として損害を算定する場合に経費を控除すべき事情は見当たらないとして排斥した。過失相殺については、原告が海賊版の出品状況を抽象的に認識していたとしても、措置を講ずべき義務が生じるとは認められないとした。消滅時効については、原告が令和2年9月18日に大阪府警察から連絡を受けて初めて加害者及び損害を知ったと認定し、訴え提起時に3年の消滅時効期間は満了していないとして被告の主張を退けた。