不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 千葉県で酒造業を営む原告(株式会社飯沼本家)は、搾りたての生酒を24時間以内に瓶詰め・出荷する日本酒「酒々井の夜明け」を製造販売していた。原告は、福井県で酒造業を営む被告(𠮷田酒造有限会社)が製造販売する日本酒「九頭竜の夜明け」について、その商品名の表示、商品容器の図案等、及びこれらを組み合わせた表示が、原告の商品等表示として著名又は周知である原告商品の表示と類似し、混同を生じさせていると主張した。原告は、不正競争防止法2条1項1号及び2号に基づき、被告商品の製造販売等の差止めと、同法4条に基づく損害賠償金33万7500円の支払いを求めた。 【争点】 (1) 原告容器の図案等の商品等表示該当性、(2) 原告の商品等表示の周知著名性の有無、(3) 商品等表示の類否、(4) 混同の有無、(5) 損害額が争われた。特に、「酒々井の夜明け」「九頭竜の夜明け」という商品名において「夜明け」の部分が要部といえるか、透明な瓶に朝日の図柄を直接印刷した容器デザインの類似性、及び原告商品の周知著名性が主たる争点となった。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。まず周知著名性について、原告商品の販売本数(令和2年で約1万7751本)は「立春朝搾り」参加44蔵元の合計出荷本数(約28万本)と対比して市場占有率が高いとはいえず、販売地域も千葉県内が5割超、関東地方以外は2割程度にとどまると認定した。メディアでの紹介もインターネット記事が中心で全国の多数の需要者に閲読されたとは認められず、クラウドファンディング「Makuake」での成功も被告商品販売開始の数年前に終了しており、周知著名性を基礎づけるには足りないと判断した。原告容器の図案等についても、透明ガラス瓶に図案等を直接印刷すること自体がありふれており、際立った特徴を有するとはいえないとして周知著名性を否定した。商品等表示の類否についても、「夜明け」は普通名詞であり出所識別力を有しないのに対し、地酒市場では「酒々井」「九頭竜」という地名部分が自他商品の識別機能を有するとして、両表示は全体として外観・称呼・観念が異なり類似しないと判断した。容器の図案等についても、原告容器の田園風景とドットグラデーションの朝日に対し、被告容器は白龍と横線模様の朝日であり、デザインが異なるとして類似性を否定した。