損害賠償請求本訴・請負代金等支払請求反訴控訴事件,同附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 生命保険の募集業務等を営む1審原告会社及びその代表者である1審原告Xが、1審被告会社の代表者である1審被告Yらに対し、①営業秘密である顧客名簿等のデータを搭載したパソコンを含む備品を無断で持ち去ったこと、②1審原告Xを脅迫して保険契約の移管合意をさせたこと、③取引先の保険会社に対し1審原告会社の信用を毀損する告知を行ったことなどが、不正競争防止法上の不正競争行為(同法2条1項4号・5号・21号)及び不法行為に該当するとして、損害賠償を求めた(本訴)。一方、1審被告Yは、1審原告会社との間の保険契約の顧客紹介に係る業務委託契約に基づく未払報酬909万余円の支払を求めた(反訴)。原審は本訴請求をいずれも棄却し、反訴請求を571万余円の限度で一部認容したため、1審原告らが控訴し、1審被告Yが附帯控訴した。 【争点】 (1) 1審被告らによる不正競争防止法2条1項4号・5号の不正競争行為(営業秘密の不正取得)の成否、(2) 1審被告会社による同法2条1項21号の不正競争行為(信用毀損)の成否、(3) 1審被告Yらによる脅迫等の不法行為の成否、(4) 1審原告らの損害額、(5) 1審原告会社と1審被告Y間の業務委託契約の締結の有無及び未払報酬額、(6) 不当利得返還請求権の成否。 【判旨】 控訴一部認容・附帯控訴棄却。まず、営業秘密の不正取得(争点1)及び信用毀損の不正競争行為(争点2)については、いずれも認めなかった。信用毀損に関しては、オートクレジット契約書の連帯保証人欄のA名義の記載部分につき、Aの実印が事務所内で管理されていたこと、高額な外国車の購入契約でありAが連帯保証を了承する合理的理由がないこと等から、1審原告Xが無断で署名押印したと認定し、虚偽の事実の告知には当たらないとした。次に、脅迫の不法行為(争点3)については、1審被告Yが平成29年9月27日から同年11月28日にかけて、「業界から抹殺してやる」「娘も巻き込む」「刑務所の可能性がある」等とSNSや電話で繰り返し述べた行為は、畏怖させるに足りる害悪の告知であり、1審原告Xがうつ病と診断されたことも考慮すれば、社会的相当性を逸脱した違法な脅迫行為であると認定した。また、備品の無断持ち去りについても、1審原告Xが付箋を剥がして拒否の意思を示し、電話でも持ち出さないよう要請していたことから、不法行為の成立を認めた。損害額については、備品の時価相当額及び慰謝料20万円等を認め、1審原告会社に12万円、1審原告Xに26万円の各支払を命じた。反訴については、業務委託契約の成立自体は認めたが、報酬算定の基礎を手数料の消費税込み額とする合意や報酬率の変更合意の成立は認めず、未払報酬を462万余円と認定した。