AI概要
【事案の概要】 原告は、自らを被写体として携帯電話で撮影した写真3枚(原告写真)を自身のブログに投稿していたところ、氏名不詳の発信者が、令和3年3月26日、インターネット上の電子掲示板「ホストラブ」に、原告写真等を複製したスクリーンショットを、「整形前に比べてマシになって」等の記載とともに投稿した。原告は、この投稿により原告写真に係る著作権(複製権及び公衆送信権)又は肖像権を侵害されたとして、経由プロバイダである被告(株式会社朝日ネット)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた。 【争点】 (1) 著作権侵害の明白性(争点1-1):被告は、原告写真はプロのカメラマンが撮影したものではなく誰が撮影しても同じ内容になる写真であり著作物に当たらないこと、投稿内容は原告やその子供の身を案じるものであること、ブログで公表された写真をファンが好意的に拡散した場合に常に複製権侵害となるかは不明であることを主張した。 (2) 肖像権侵害の明白性(争点1-2):被告は、原告は20万人超のフォロワーを持つインスタグラマーであり広く知られた存在であること、投稿は原告の容貌を誹謗中傷する目的ではないこと、原告はインスタグラムで容貌を公表しており肖像権を放棄していることを主張した。 (3) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点2)。 【判旨】 裁判所は、原告写真について、構図・撮影ポジション・アングルの選択等において一応の創意工夫がされており、撮影者である原告の個性が現れているとして、原告の思想又は感情を創作的に表現した著作物に該当すると認定した。その上で、本件投稿は著作権者である原告の許諾を得ずに原告写真を有形的に再製し公衆送信するものであるから、少なくとも原告写真に係る複製権及び公衆送信権を侵害するものと認め、著作権侵害の明白性を肯定した。被告の反論に対しては、プロの撮影でなくても創作性は認められること、投稿の動機や目的は複製権・公衆送信権侵害の成否を左右しないことを指摘して、いずれも排斥した。著作権侵害が認められたことから、肖像権侵害の点については判断しなかった。正当な理由についても、原告が発信者に対し損害賠償請求を予定していることから肯定し、原告の請求を全部認容した。