損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ1866
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2021年11月18日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 清水響、川畑正文、佐々木愛彦
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所_堺支部
AI概要
【事案の概要】 控訴人(原審原告)は、大韓民国の国籍を有する在日三世であり、被控訴人会社(原審被告会社・フジ住宅)に雇用されていた。控訴人は、被控訴人会社及びその代表取締役会長である被控訴人Aから、以下の行為により人格権又は人格的利益を侵害されたと主張し、損害賠償を求めた。㋐中国・韓国・北朝鮮の国籍を有する者等を誹謗中傷する人種差別的内容の資料が職場で大量に配布され閲読を余儀なくされたこと(本件配布①)、㋑教科書展示会への参加及び特定教科書の採択を求めるアンケート提出を余儀なくされたこと(本件勧奨)、㋒本件訴訟提起後にその提起を誹謗中傷する従業員の感想文等が職場で配布され報復的非難を受けたこと(本件配布②)。原審(大阪地裁堺支部)は連帯して110万円の損害賠償を認容し、その余を棄却した。控訴人は原判決を不服として控訴するとともに、当審で差止請求を追加した。被控訴人らも敗訴部分につき控訴した。 【争点】 (1)本件配布①(人種差別的資料の職場配布)の不法行為該当性、(2)本件勧奨(教科書展示会参加の勧奨)の違法性、(3)本件配布②(訴訟提起を非難する資料の配布)の不法行為該当性、(4)損害額、(5)人格的利益に基づく差止請求の可否及び範囲 【判旨】 原判決変更(損害賠償増額+一部差止認容)。当裁判所は、本件配布①について、ヘイトスピーチに該当する表現(「在日は死ねよ」等)や売国奴等侮辱言辞を含む資料の配布は、差別的意識を助長する目的がなくとも、差別を煽動する効果を有し、それ自体で違法と判断した。さらに、個々の資料は直ちに不法行為を構成しなくとも、一定の傾向を有する資料を継続的かつ大量に配布した結果、職場に差別的思想を醸成する温床を作出したと評価し、使用者の職場環境配慮義務違反を認めた。本件勧奨についても、政治活動への参加の任意性が十分に確保されていなかったとして違法とした。本件配布②については、提訴者を非難する感想文の配布が控訴人に強い疎外感を与えて孤立化させ、訴訟による救済を抑圧するものとして不法行為の成立を認めた。慰謝料120万円及び弁護士費用12万円の合計132万円を認容した。差止請求については、ヘイトスピーチに該当する表現及び売国奴等侮辱言辞を含む資料の配布、並びに控訴人が訴訟を提起・追行すること自体を批判・誹謗中傷する資料の配布について、それぞれ差止めを認めた。