特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、名称を「被包型側溝」とする発明についての特許(特許第3718279号)に係る特許権(平成28年3月10日、存続期間満了により消滅)を有していた控訴人が、被控訴人(石橋産業株式会社)が各被告製品(側溝製品)を製造・販売等することは控訴人の特許権を侵害するものであったと主張するとともに、不正競争防止法2条1項1号所定の混同惹起行為に当たると主張して、(1)不正競争防止法3条に基づく製造等の差止め及び型枠の廃棄並びに謝罪広告の掲載、(2)民法709条及び特許法102条2項又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償として7897万5000円及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。 本件発明は、断面凸状の曲面からなる当接部を有する側溝蓋と、断面凹状の曲面からなる支持面を有する側溝本体とを組み合わせた被包型側溝に関するもので、支持面の下端に「せぎり部」を形成し、側溝蓋の当接部の下端部との間に所定の隙間を設けることで、砂利や土等が隙間に集まり、側溝蓋と側溝本体の面接触状態を維持するという技術的特徴を有する。 原審(大阪地方裁判所)は、各被告製品は本件発明の技術的範囲に属さず、また控訴人の製品形態は商品等表示に当たらないとして請求を棄却し、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 (1) 各被告製品が本件発明の構成要件B3の「せぎり部」を充足するか(特許権侵害の成否) (2) 各被告製品が本件発明と均等なものとして技術的範囲に属するか(均等論) (3) 被控訴人の行為が不正競争防止法2条1項1号に該当するか(商品形態の特別顕著性・周知性・混同のおそれ) 【判旨】 控訴棄却。 (1) 構成要件B3の充足性について、裁判所は、「せぎり部」は側溝蓋の断面凸状の曲面からなる「当接部」の下端部との間に所定の隙間を形成するためのものであるところ、被告製品における側溝蓋の「突起」と側溝本体の「切欠き」は蓋の回転防止機構として機能するものであり、仮に隙間部分に砂利等が集まる作用効果があるとしてもそれは副次的な結果にすぎず、構成要件B3を充足しないと判断した。 (2) 均等論について、裁判所は、構成要件B3は審査段階で拒絶理由通知を回避するために付加された構成であり、「せぎり部」の位置も含めて本件発明の進歩性を基礎づける本質的部分であるとした上で、各被告製品は本件発明の本質的部分である構成要件B3において本件発明と相違するから均等の第1要件を充足しないとして、均等侵害の主張を排斥した。 (3) 不正競争防止法上の主張について、裁判所は、曲面からなる側溝蓋の当接部・側溝本体の支持面を有する組合せの側溝製品は平成8年頃から複数の企業により流通しており、原告製品の形態が他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有するとはいえないこと、側溝は地方自治体を主たる需要者とし形態のみに基づいて取引されるものではないことから、特別顕著性も周知性も認められないとして、控訴人の主張を排斥した。