意匠権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社ドウシシャ)は、送風機付き照明器具「サーキュライト」の製造販売会社であり、被告(スワン電器株式会社)に対し、被告が製造販売する送風機付き照明装置「LED小型ファンシーリング UZUKAZEmini」(被告商品)について、以下の3つの請求を行った事案である。 第1に、被告商品の意匠は、意匠に係る物品を「送風機付き照明器具」とする原告の意匠権(意匠登録第1650627号)に係る意匠に類似するとして、意匠権侵害に基づく差止め・廃棄及び損害賠償(750万円)を請求した。第2に、被告商品は原告商品の形態を模倣したものであるとして、不正競争防止法2条1項3号(形態模倣)に基づく差止め・廃棄及び損害賠償を請求した。第3に、原告商品の形態は周知の商品等表示であり、被告商品がこれと類似する形態を使用しているとして、同法2条1項1号(周知表示混同惹起)に基づく同様の請求を行った。 原告商品・被告商品はいずれもサーキュレーターとシーリングライトを一体化した小型照明器具であり、天井に設置して使用するものである。 【争点】 (1) 原告意匠と被告意匠の類否(争点1) (2) 被告商品による原告商品の形態模倣の有無(争点2・不競法2条1項3号) (3) 原告商品の形態の商品等表示該当性及び混同のおそれの有無(争点3・不競法2条1項1号) (4) 原告の損害額(争点4) 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点1(意匠の類否)について、裁判所は、原告意匠の要部は、使用状態で最も視認される円筒状中空本体の下面部を中心に、側面部及び支柱体(口金部を除く)を含む部分であると認定した。その上で、両意匠の具体的構成態様を対比し、ファンガードの本数・形状の差異(原告意匠は48本の直線状で密かつシャープな印象、被告意匠は36本の湾曲線状で疎かつ柔らかな印象)、透光部の占める割合の差異、支柱体の太さやカバーの有無等の差異を指摘した。これらの差異点を総合的に考慮し、原告意匠は全体的にすっきりとして洗練された印象を与えるのに対し、被告意匠は全体的に存在感を示しつつ柔らかく安定感のある印象を与えるものであり、具体的構成態様における差異点が共通点により生ずる美感を凌駕し、両意匠は全体として美感を異にすると判断した。 争点2(形態模倣)について、裁判所は、原告商品と被告商品の形態には意匠の類否判断と同様の差異点が存在し、需要者に異なる美感を生じさせるものであるとして、両商品の形態は実質的に同一とは認められず、被告商品は原告商品の形態を模倣したものとはいえないと判断した。 争点3(商品等表示該当性)について、裁判所は、原告が特別顕著性の根拠として挙げた特徴(天井直付け構造、回転ファン・ファンガードの形成、支柱体による角度調整機能)はいずれも同種商品に見られるものであり、原告商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有するとは認められないとして、商品等表示該当性を否定した。