株式会社ユニバーサルエンターテインメント株主代表訴訟事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、株式会社ユニバーサルエンターテインメント(以下「補助参加人」)の株主である原告が、補助参加人の海外事業統括を職務分掌とする取締役であり、海外子会社Tiger Resort Asia Limited(以下「TRA」)の代表者であった被告(補助参加人の創業者)に対し、会社法423条1項に基づく損害賠償を補助参加人に支払うよう求めた株主代表訴訟である。被告の問題とされた行為は以下の3つである。第1に、被告及びその親族が全株式を保有する資産管理会社OHL(香港法人)の第三者Cに対する貸金債権を回収する目的で、TRAの代表者として、補助参加人がフィリピンのカジノリゾート事業資金として高利で借り入れた資金の一部を原資に、Cが関与するGoldluck社に1億3500万香港ドルを無利息で貸し付けた行為(本件行為1)。第2に、自己の個人的利益を図る目的で、TRAの代表者として受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出した行為(本件行為2)。第3に、OHLの利益を図り、海外孫会社UE韓国にOHLの借入れに伴う利息等相当額17万3562.23米国ドルを経営コンサルタント料等の名目で支払わせた行為(本件行為3)。 【争点】 (1) 本件各行為に関し、被告に補助参加人の取締役としての善管注意義務又は忠実義務の違反があったか。被告は、本件行為1について稟議書等に署名はしたがその内容を認識しておらず管理本部長Dの判断を信頼したにすぎないと主張し、本件行為2については日常的に白地小切手に署名していただけで関与していないと主張し、本件行為3についてはUE韓国の取締役らが無断で行ったものであると主張した。 (2) 本件各行為により補助参加人に損害が発生したか及びその金額。被告は、TRAは補助参加人とは別法人であり子会社に生じた損害が親会社に同額の損害をもたらすとはいえないと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。本件行為1について、被告はCからOHLへの貸付金返済を受ける目的で、カジノリゾート事業のために高利で借り入れた資金を流用してTRA貸付けを行ったものであり、貸付先の返済能力を検討することなく行われ、実際にほとんどが回収不能となっていることから、善管注意義務・忠実義務違反を認めた。被告の「内容を把握していなかった」との主張は、自ら稟議書や契約書に署名しながらの弁解であり不自然であるとして排斥した。本件行為2について、報酬増額要求が拒否された後に受取人白地の小切手を振り出した経緯、稟議書に「美術品の手数料」と記載しながら美術品購入の事実がないこと、経理上被告への給与として処理されていたこと等から、自己の個人的利益を図る目的であったと推認し、義務違反を認めた。本件行為3について、被告が部下に具体的に指示してOHLの借入利息等をUE韓国に負担させたものであり、会社法抵触の忠告を受けながらも実行したとして義務違反を認めた。損害については、TRA及びUE韓国の全株式を補助参加人が間接的に保有し、重要事項について補助参加人が指示する体制が構築されていたことから、子会社に生じた損害と同額の資産減少が補助参加人に生じたと認定し、合計1億3600万香港ドル及び17万3562.23米国ドルの損害賠償を命じた。