AI概要
【事案の概要】 被告人Aと被告人Bは、Cと称する組織に所属し、バイナリーオプション取引に関する情報商材の販売事業に従事していた。同組織の代表者であるDが首謀者として事業全般を統括管理する中、被告人らは以下の手口で若年の被害者らから現金をだまし取った。 まず被告人Aが出会い系アプリ上で架空のトレーダー「F」になりすまし、バイナリーオプション取引で多額の利益を得ているかのような虚偽のTwitter投稿を被害者に閲覧させた上で、「師匠」と引き合わせると称して被告人Bに引き継いだ。次に被告人Bが架空のトレーダーとして対面し、「勝率を80〜90%に上げられる方法論がある」「自分もローンを組んで始めたが半年で元が取れた」などと虚偽の説明をして投資指導料名目で高額な現金を要求した。被害者4名(当時21〜23歳の若年成人)は、この方法論を購入すれば同様の利益が得られると誤信し、消費者金融等で借り入れた現金を交付させられた。被害額は被告人Aの起訴分が合計250万円、被告人Bの起訴分が合計350万円に上る(第1事実)。 また、被告人両名はDらと共謀して、被害者に対し自己啓発に関する助言サービスの役務提供契約を勧誘した際、クーリングオフに関する事実を故意に告げず、法定書面の交付もしなかった(第2事実・特定商取引法違反)。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件の態様が計画的かつ組織的であり、架空のトレーダーへのなりすましや役割分担による巧妙な勧誘手法を用いた点で全体として相当悪質であるとした。被告人両名はいずれも詐欺の実行行為を含む重要な役割を果たしており、その刑事責任は軽視できないと指摘した。 他方で、本件各犯行を首謀し圧倒的に主導したのはDであり、被告人両名の立場はDと比較してはるかに従属的であったこと、起訴事件当時には被告人らがDとの関わりをやめたいという気持ちも強かったこと、被告人Aの報酬も多くなかったことを考慮した。さらに、被害者らに対して被害弁償や示談がなされその多くから宥恕を得ていること、被告人両名がいずれも前科なく若年であること、捜査・公判を通じて真摯に反省していること、新たな仕事に就き更生を支える家族もいることから、再犯の可能性は高くないと判断した。 以上を総合考慮し、被告人Aを懲役1年6月、被告人Bを懲役2年に処した上、いずれも4年間の執行猶予を付した(求刑どおり)。