AI概要
【事案の概要】 本件は、「情報提供装置,システム及びプログラム」と題する特許(特許第6538097号)に係る特許権を共有する原告ら3名(株式会社REVO、個人事業主A、株式会社アイピーシー)が、被告SELF株式会社に対し、被告が提供するスマートフォン用アプリケーション「SELF」が本件特許権を侵害するとして、特許法100条1項に基づく差止め及び同法102条2項に基づく損害賠償金333万3333円の支払を求めた事案である。 本件特許は、ユーザの個人情報を疑似コミュニケーションを通じて取得し、その情報に基づいてウェブサイトから提案すべき情報を取得してユーザに提供したり、ユーザに注意を促したりする情報提供プログラムに関するものである。原告らは、文言侵害(請求項5)、均等侵害(請求項5)、間接侵害(請求項1、5)を主張した。 【争点】 主な争点は、(1)被告プログラムが本件各発明の技術的範囲に属するか(構成要件の充足性)、(2)本件各発明が先行文献に基づき新規性又は進歩性を欠くか(無効理由の有無)であった。特に、構成要件の充足性に関しては、スマートフォン内の格納媒体の有無(争点1-1)、提案手段の充足性(争点1-2)、ウェブサイトからの情報取得がプッシュ型かプル型か(争点2-1)、ユーザに注意を促すステップの有無(争点2-2)等が争われた。無効理由については、先行文献である乙8公報(学習・生活支援システムに関する特許公報)に基づく新規性欠如が主要な争点となった。 【判旨】 裁判所は、まず技術的範囲への属否について、被告プログラムをインストールしたスマートフォンが本件発明1の全構成要件を充足し、被告プログラムが本件発明5の全構成要件を充足すると認定した。具体的には、スマートフォンが通信不可の状態でも個人情報を表示できることから格納媒体の存在を認め、URLの提供もウェブサイトからの「提案すべき情報」の取得に該当し、プッシュ型に限定されないと判断した。 しかし、無効理由の検討において、裁判所は、先行文献である乙8公報記載の学習・生活支援システム(乙8発明)と本件各発明を詳細に対比した。乙8発明は、アバターとユーザとの対話を通じてユーザ情報を取得し、キーワードに基づいてウェブサイトのリンクをユーザ端末に出力する構成を有しており、これはユーザに対する「提案」に該当すると認定した。また、スケジュール未完了時にアバターが修正を依頼する構成は「注意を促す」手段に相当すると判断した。その結果、本件各発明の全構成要件が乙8発明と実質的に同一であり、新規性を欠くものと認め(特許法29条1項3号、123条1項2号)、原告らの請求をいずれも棄却した。