手続却下の処分取り消し請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、平成31年4月に「ボトルキャップ開けホルダー」という名称の発明について特許出願(特願2019-086601号)を行った。この発明は、片手が不自由な人でも片手だけでボトルのキャップを開けることができるようにするもので、基板にキザミ溝を設けたV字型の部材を冷蔵庫等に固定し、ボトルを差し込んで回転させるだけでキャップを緩めたり開けたりできる補助具である。 特許庁審査官は令和2年2月に拒絶査定を行い、原告はこれを不服として拒絶査定不服審判を請求したが、審判合議体は同年10月に請求不成立の審決をした。原告は審決謄本の送達後、審決末尾の教示文を誤解して特許庁長官宛に意見書を提出したところ、特許庁長官は審判終了後の手続は不適法であるとして手続却下の処分を行った。 原告は、①拒絶査定の取消し、②手続却下処分の取消し、③特許査定をすることの義務付けの3つを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 1. 拒絶査定の取消しを求める訴えの適法性 2. 特許査定の義務付けを求める訴えの適法性 3. 手続却下処分の適法性(本案の争点) 【判旨】 裁判所は、まず①拒絶査定の取消しを求める訴えについて、特許法上、拒絶査定に不服がある場合は拒絶査定不服審判を請求しなければならず(特許法121条1項)、審判を請求できる事項に関する訴えは審決に対するものでなければ提起できない(同法178条6項)として、不適法であると判断し却下した。 次に③特許査定の義務付けの訴えについて、これは申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項2号)に当たるところ、法令に基づく申請を棄却する処分がされた場合は当該処分の取消訴訟等を併合提起しなければならない(同法37条の3第3項2号)が、①の拒絶査定取消しの訴えが不適法である以上、適法な取消訴訟等の併合提起がないことになるとして、同様に不適法と判断し却下した。 本案の争点である②手続却下処分の適法性について、裁判所は、審決があったときは審判は終了し(特許法157条1項)、終了後に当該審判に係る書面を提出する手続は不適法であると判示した。原告の意見書は審決後に提出されたものであり、その内容も拒絶査定の取消しを求める審判に係るものであったから、却下処分は特許法18条の2第1項に基づく適法な処分であるとした。原告は審決謄本の教示に従って意見書を提出したと主張したが、裁判所は、教示の記載内容は審決取消訴訟の提起方法を教示するものであり、意見書の提出を教示するものではないとして、原告の主張を退けた。 以上により、①③の訴えを却下し、②の請求を棄却した。