発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、自らの氏名と顔写真を使用したツイッター(現X)のアカウントを有していた。本件投稿者らは、原告のツイートをスクリーンショット画像として添付する形で、ツイッター上に合計4件の投稿を行った。原告は、これらの投稿が原告のツイートに係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであると主張し、ツイッター社に対する仮処分手続を経てログイン時のIPアドレスの開示を受けた。そのIPアドレスの割当元である被告(NTTドコモ)に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、発信者の氏名、住所、電子メールアドレス及び電話番号の開示を求めた。被告は、ログイン時の通信記録は権利侵害情報を投稿した通信そのものではないため「権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないと争うとともに、原告各投稿の著作物性や引用の成否等を争った。 【争点】 (1) ログイン時の通信記録がプロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか(争点1) (2) 原告の各ツイートに著作物性が認められるか(争点2-1) (3) 本件各投稿が著作権法32条1項の「引用」に該当し適法となるか(争点2-2) (4) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか(争点3) 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。争点1について、ツイッターはアカウントにログインしなければ投稿できない仕組みであり、本件各アカウントが投稿前後を通じて昼夜を問わず頻繁にログインされ継続的に使用されていた事実を踏まえ、ログインした者が本件各投稿をして原告の権利を侵害したものと認定した。加害者の特定を可能にして被害者の権利救済を図るという同法の趣旨に照らし、投稿後のログイン時点における発信者情報であっても「権利の侵害に係る発信者情報」に該当すると判断した。争点2-1について、原告の各ツイートは140文字以内という文字数制限の中で感想や意見を口語的な表現で端的に述べたものであり、構成に作者の工夫が見られ、表現内容にも個性が現れているとして、いずれも言語の著作物に該当すると認めた。争点2-2について、ツイッターの規約は他人のコンテンツを引用する際に引用ツイート機能の使用を求めているところ、本件各投稿はこの手順を使用せずスクリーンショットで複製しており公正な慣行に合致しないこと、またスクリーンショット画像が量的にも質的にも主たる部分を構成し引用の目的上正当な範囲内とは認められないことから、引用の要件を充足しないとした。争点3について、原告が損害賠償請求を予定していることから正当な理由を認め、電子メールアドレスや電話番号についても請求権の円滑な行使に資するとして開示を認めた。