公有水面埋立承認取消処分取消裁決の取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置するため、沖縄県知事から公有水面埋立法42条1項に基づく埋立承認を受けていた。その後、事後に判明した事情等を理由として沖縄県副知事が同承認を撤回したところ(本件撤回処分)、沖縄防衛局が国土交通大臣に対し行政不服審査法に基づく審査請求をし、国土交通大臣は撤回処分を取り消す旨の裁決(本件裁決)をした。これに対し、沖縄県(控訴人)が、本件裁決には成立の瑕疵があり内容も違法であるとして、国(被控訴人)を相手に行政事件訴訟法3条3項に基づき本件裁決の取消しを求めた。原審(那覇地方裁判所)は本件訴えを却下し、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、沖縄県が本件裁決の取消訴訟における原告適格(行訴法9条の「法律上の利益を有する者」)を有するか否かである。控訴人は、国の裁定的関与により自治権や公物管理権が侵害されるとして、取消訴訟の原告適格が認められるべきと主張した。 【判旨】 控訴棄却。福岡高裁那覇支部は、本件訴えは不適法であり却下した原審の判断は正当であるとした。 まず自治権の侵害について、憲法の地方自治に関する規定は一定の統治機構を制度として保障したものであり、「自治権」という広範な概念から、地方公共団体の事務全般における権能の行使に関し、私人の裁判を受ける権利と同等の保護が予定されていると解することは困難であるとした。また、地方自治法上、審査請求に対する裁決は「国の関与」から除外されており、法定受託事務に係る処分について大臣が審査庁としてした裁決の場面で、処分庁の地位を私人と同等に保護する趣旨の規定は見当たらないとした。埋立法の規定を通観しても、埋立承認の権限を行使する知事の属する都道府県に私人と同等の権利利益が法律上保護されているとは認められないとした。 次に公物管理権について、撤回処分により都道府県知事にもたらされる埋立法上の効果は再度埋立承認をする権限を回復したにとどまり、公物管理権の行使をもって私人と同等の権利利益を享受しているとはいえないとした。さらに、一般海域は私人の所有対象とならず、沖縄県が本件埋立海域について民事上の占有権を有する状況にもないとした。 以上から、控訴人には本件裁決の取消訴訟についての原告適格が認められず、本件訴えは不適法であると結論づけた。