被告人Aに対する加重収賄被告事件,被告人Bに対する贈賄被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 国土交通省九州地方整備局関門航路事務所の係長であった被告人Aは、同事務所が管轄する航路の船舶・機器運用に関する物品購入や役務提供業務の発注等の職務に従事していた。被告人Aは、船舶修理業等を営む有限会社Dの取締役である被告人Bから、Dが役務提供業務を受注できるよう有利かつ便宜な取り計らいをすることへの謝礼等の趣旨で、令和2年11月から令和3年2月にかけて3回にわたり、ワイヤレスイヤホン等8点(販売価格合計約34万8000円)の供与を受けて賄賂を収受した(加重収賄)。さらに被告人Aは、Dから当初125万4000円と見積もられていた役務提供業務の代金を約100万円上乗せし、合計227万2600円とする物品購入要求書を作成して随意契約を締結させ、Dの口座に代金を振り込ませるという職務上不正の行為を行った。被告人Bは、被告人Aの要求に応じて上記賄賂を供与した(贈賄)。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人Aについて以下の事情を重視した。被告人Aは、発注先の選定や発注金額の決定ができる立場を悪用し、自ら積極的に賄賂を要求するなど計画的かつ主導的に犯行に及んでおり、態様は悪質である。賄賂の価格や上乗せ金額はいずれも少額とはいえず、常習性も窺われ、公務の公正さやこれに対する社会の信頼が害された程度は大きい。私利私欲による犯行であり、動機に酌むべき点はない。被告人Bについても、被告人Aの要求が違法であると認識しながらDの利益のために犯行に及んでおり、動機に酌むべき余地は乏しい。もっとも、両被告人がそれぞれ犯行を認めて反省の態度を示していること、被告人Aには前科がなく内妻が監督を誓約していること、被告人Bには古い罰金前科しかなく本件発覚によりDの事業を廃業する予定であることなどの一般情状を考慮し、被告人Aを懲役2年6月(執行猶予4年)、被告人Bを懲役1年(執行猶予3年)に処した。被告人Aから34万8244円を追徴した。