AI概要
【事案の概要】 本件は、「VEGAS」の欧文字を横書きしてなる商標(商標登録第6080858号)について、商標法3条1項3号(役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)に該当するとして商標登録無効審判が請求されたが、特許庁が請求不成立の審決をしたため、原告(株式会社ダイハチ)がその取消しを求めた事案である。本件商標は平成29年12月26日に登録出願され、第41類「娯楽施設の提供」等を指定役務として平成30年9月14日に設定登録された。被告(株式会社ベガスベガス)が商標権者である。原告は、「VEGAS(ベガス)」の語が米国ネバダ州ラスベガスの略称として広く一般に知られており、「娯楽施設の提供」について使用した場合には役務の提供場所や質を表示するにすぎないと主張した。 【争点】 「VEGAS」の語が「ラスベガス」の略称として広く一般に知られているか、すなわち本件商標が商標法3条1項3号に該当するか否か。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。裁判所は、まず「VEGAS」の欧文字が片仮名「ベガス」と併記されることなく単体で「ラスベガス」を意味するものとして辞書や記事に記載された例は見当たらないと指摘した。次に、「ベガス」の語については、「大辞林」「大辞泉」等の辞典にラスベガスの略称として掲載されているものの、辞典への掲載は語の内容を示すにとどまり、直ちにその語が広く一般に知られていることを示すものではないとした。新聞・雑誌の記事については、「ベガス」の語が見出しに用いられた例が相当数あるものの、そのほとんどで記事本文では「ラスベガス」の語が改めて用いられており、「ベガス」の語単体ではラスベガスと理解されないことに備えたものと解されるとした。さらに、「娯楽施設の提供」の役務との関係においても、国外の地であるラスベガスが提供場所を表すとは通常理解され難く、日本では「ラスベガス」と賭博場のイメージが強固に結びついているところ、「娯楽施設の提供」には本来「賭博場の提供」は含まれないと解されることも考慮し、取引者・需要者が「ベガス」の語から直ちにラスベガスを想起するとはいえないと判断した。以上から、本件商標は商標法3条1項3号に該当しないとして、審決の判断を維持した。