出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 家庭用磁気治療器の販売等を業とするA株式会社の代表取締役社長である被告人が、同社代表取締役会長やその他の役員・社員らと共謀の上、法定の除外事由なく、不特定多数の顧客から業として預り金をしたとして、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)違反に問われた事案である。A社は、消費者庁から3度目の業務停止命令等の行政処分を受ける見通しとなったことを契機に、会長の指示の下、それまでの商品に代わるものとしてリース債権の販売を開始した。その契約内容は、額面100万円のリース債権を70万円で販売し、5年後にA社が70万円で買い戻すとともに、年利約8.57%の配当金を毎月支払うというもので、元本返還と高利回りが保証されていた。しかし、このリース債権はレンタルユーザー契約を一方的にリース購入契約に切り替えたもので、ユーザーへの説明や承諾もなく、実体のない名目上のものであった。被告人らは、平成29年11月13日から同年12月15日までの間、全国各地の催事等で勧誘を行い、23名の顧客から合計約1億1428万円を受け入れた。 【争点】 主な争点は、被告人に「預り金」該当性の認識(故意)があったか否かである。弁護人は、被告人はリース債権譲渡契約の内容を知らず故意がなかったと主張した。また、共謀の成否も争われた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人がA社の社長として月の多くを全国の催事に費やし講師を務めていた立場から、リース債権の契約内容を知らなかったとは考えられないと判断した。具体的には、11月6日にスライドへのリース債権収入例の追加を了解し、11月11日には会長に対しリース債権の契約内容を自ら確認するメールを送信していたことから、遅くとも同日までに契約内容を理解していたと認定した。また、リース債権の実体について会長に確認した形跡がないことから、少なくとも実体のない名目上のものである可能性を認識していたと評価し、「預り金」該当性の認識を認めた。共謀については、被告人が催事で個別面会を通じてリース債権の購入に向けた働き掛けをし、A社の売上げ向上を牽引する役割を果たしていたことから、共謀の成立を認めた。量刑については、全国規模の組織的・職業的犯行であり、A社の事実上の倒産により預り金の大部分が返還されず社会的影響が大きい一方、会長によるワンマン経営の下で被告人は指示に従うほかない立場にあったことを考慮し、懲役2年6月及び罰金200万円(懲役刑につき5年間の執行猶予)を言い渡した。