AI概要
【事案の概要】 本件は、漫画家である原告が、海賊版漫画閲覧サイト「漫画村」(平成28年1月頃開設、平成30年4月閉鎖)において自己の著作物である漫画が無断掲載され公衆送信権が侵害されているところ、被告ら(広告代理業を営む親子会社)が同サイトに掲載する広告主を募り、メディアレップを通じて同サイトの管理者に広告掲載料として運営資金を提供したことが上記公衆送信権侵害の幇助に当たると主張して、共同不法行為(民法719条2項、709条)に基づき、損害賠償金1100万円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。漫画村は5万冊以上の漫画を無料で閲覧可能とし、月間閲覧数は延べ1億7000万人に上り、その運営資金のほとんどが広告収入によって賄われていた。原告漫画の累計発行部数は約2370万部、累計売上額は約109億4940万円に上る人気作品であった。 【争点】 (1) 被告らの幇助による共同不法行為の成否:海賊版サイトへの広告出稿・広告料支払が著作権侵害の幇助行為に当たるか。被告らは、広告費の支出は著作権侵害を物理的に促進する現実的危険性を有しないと主張した。 (2) 被告らの行為と原告の損害との因果関係の有無:被告らは、メディアレップを介した間接的な取引であり、本件サイトに支払われた広告費の割合が不明であるとして因果関係を争った。 (3) 被告らの故意又は過失の有無:被告らは、1万6788ものメディアを登録しており全サイトの著作権侵害の有無を確認することは不可能であり、政府の指摘(平成30年4月13日)まで海賊版サイトであることを認識し得なかったと主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全額認容した(1100万円)。まず幇助行為の成否について、漫画村は利用者から対価を徴収せず広告料収入がほとんど唯一の資金源であったことから、同サイトに広告を出稿し広告料を支払う行為は、構造上、著作権侵害行為を補助し容易ならしめる幇助行為に当たると判断した。被告らが広告費の支払開始前から原告漫画が掲載されていたとの主張に対しては、支払開始後もなお違法状態が継続しており、その継続が被告らの広告費支払により助長されていたとして排斥した。因果関係についても、被告らの広告掲載活動が原告漫画の売上減少という損害との因果関係を否定する事情にはならないとした。過失の有無については、海賊版サイトの社会問題化や広告業界団体による対策の必要性の認識を踏まえ、被告らは本件サイトが違法に漫画を掲載している蓋然性を認識し得たとし、著作物の使用許諾の有無を調査すべき注意義務に違反した過失があると認定した。被告グローバルネットが取引先に対し漫画村を名指しで「そこそこ効果はいい」と営業していた事実も、被告らの認識を裏付けるものとした。損害額については、原告漫画の累計売上額約109億4940万円に印税率10%を乗じ、被告らの幇助行為の寄与割合を約1%と認定して1000万円とし、弁護士費用100万円と合わせて計1100万円を認容した。