AI概要
【事案の概要】 経済産業省に入省した若手官僚である被告人A及び被告人B(Aは犯行当時別の省庁に出向中)が、共謀の上、新型コロナウイルス感染症対策として設けられた持続化給付金制度及び家賃支援給付金制度を悪用し、合計約1550万円の給付金をだまし取った詐欺事件である。 被告人両名は、共同で設立した2社(C社及びD社)について、実際にはコロナ禍による売上減少の事実がないにもかかわらず、売上額が0円に激減したかのように装い、虚偽の総勘定元帳やコンサルティング契約書等のデータを添付して持続化給付金を申請し、C社分200万円、D社分200万円の計400万円をだまし取った(第1・第2)。さらに、C社及びD社について、被告人AからC社・D社が建物を賃借して賃料を支払っているかのように装い、虚偽の建物賃貸借契約書や預金通帳の画像データ等を添付して家賃支援給付金を申請し、C社分約550万円、D社分600万円の計約1150万円をだまし取った(第3・第4)。 犯行を主導したのは被告人Aであり、華美な生活を改められない中で私利私欲から犯行に及び、だまし取った現金の相当部分を利得した。被告人Bは、以前にした失言やそれに伴う事態を被告人Aから執拗に責め立てられる中で犯行に関与するに至ったもので、自身が費消した利得は認められないが、実行行為の全てを担当し、自らの考えで工夫した部分もあった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件が国家公務員への国民の信頼を裏切る行為であり、とりわけ中小企業庁ひいては経済産業省の重要政策である給付金制度を同省に所属・関係する被告人両名が悪用したことは強い非難に値すると指摘した。また、多額の国費がだまし取られた結果の重大性にも言及した。 被告人Aについては、犯行を主導し、被告人Bを巻き込んだ点で非難の度合いがかなり高く、原則として実刑をもって臨むべきとした。罪を認め反省の態度を示していること、加算金等を含む被害弁償が完了していること(大部分を被告人A側が負担)、懲戒免職処分等の社会的制裁を受けたこと等の酌むべき事情を十分評価しても、犯情の重さに照らし執行猶予は許容されないとして、懲役2年6月の実刑とした。 被告人Bについては、被告人Aの指示がなければ犯行に及んでいなかったこと、関与に至った経緯に酌むべき余地があること、自身の利得がないこと等から、被告人Aとは格段の差があるとし、罪を認め内省を深めていること、被害弁償のうち200万円を負担したこと、兄が更生に協力する旨法廷で約束したこと等を考慮し、懲役2年・執行猶予4年とした(求刑:被告人Aにつき懲役4年6月、被告人Bにつき懲役3年)。