AI概要
【事案の概要】 本件は、フリーランスカメラマンである原告Bが撮影した写真の著作権を保有する原告会社と、著作者人格権を有する原告Bが、被告に対して損害賠償を求めた事案である。被告は自身が管理するウェブサイトにおいて、平成29年5月9日から令和2年7月29日までの約39か月間にわたり、原告らに無断で本件写真の複製物を掲載・公開し、その際に撮影者である原告Bの氏名を表示しなかった。原告会社は著作権(複製権・公衆送信権)侵害に基づき128万7000円を、原告Bは著作者人格権(氏名表示権)侵害に基づく慰謝料等16万5000円をそれぞれ請求した。被告ウェブサイトでは、テレビCMに出演している女性が女優に似ているという趣旨の記事に本件写真が添えられていた。原告らは内容証明郵便で損害賠償請求をしたが被告から応答がなく、本件訴訟の提起に至った。 【争点】 主たる争点は、原告らの損害額の算定方法である。原告会社は、写真1枚当たり月額3万円でライセンスしており、39か月分で117万円が損害額であると主張した。これに対し被告は、原告ら提出の請求書は撮影料やテレビ放送用の使用料であってライセンス料の実績としては不適切であるとし、協同組合日本写真家ユニオン作成の使用料規程(インタラクティブ配信の項目)に基づき5万5000円、侵害の抑止を考慮しても8万2500円が上限であると反論した。 【判旨】 裁判所は、まず本件写真について、職業写真家である原告Bの構図・撮影角度・シャッターチャンスの捕捉等に個性・独自性が表れているとして著作物性を認め、被告の行為が著作権侵害及び著作者人格権侵害に当たると判断した。損害額の算定については、原告会社提出の請求書(甲4・5)の「撮影料」名目の金額は撮影業務やレタッチ等の対価を含むものであり、ライセンス料そのものとは認められないとした。また、テレビ放送用の使用料に関する請求書(甲6)も媒体や使用形態が本件と大きく異なるとして、月額3万円のライセンス料の立証は不十分と判断した。その上で、日本写真家ユニオンの使用料規程を参酌しつつも、約39か月間の長期にわたる無断使用であること等を考慮し、著作権法114条3項に基づく損害額を10万円と認定した。なお、被告ウェブサイトでの使用は宣伝広告目的ではないとして、商用広告利用の使用料を適用すべきとの原告らの主張も退けた。氏名表示権侵害の慰謝料は5万円、弁護士費用は原告会社につき1万円、原告Bにつき5000円とし、合計で原告会社に11万円、原告Bに5万5000円の支払を命じた。