AI概要
【事案の概要】 画像処理用LED照明装置等の製造会社である原告は、従業員Aが中国の子会社に赴任したため、Aが介護保険第2号被保険者の資格を喪失し、介護保険の適用除外に該当するとして、原告及びAが加入する健康保険組合である被告に対し、介護保険適用除外該当届を提出した。被告は一旦これを受理したが、その後、Aの住民票が消除されていないことが判明したとして、届出書類を返戻するとともに、未徴収の介護保険料を徴収する旨の通知をした(本件取消処分)。原告はこれを違法として、社会保険審査官への審査請求、社会保険審査会への再審査請求、京都府介護保険審査会への審査請求をいずれも行ったが、すべて却下された。そこで原告は、本件取消処分が行政事件訴訟法3条2項の「処分」に当たることを前提に、被告を相手にその取消しを求めて提訴した。 【争点】 主要な争点は、本件取消処分が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか否か(処分性の有無)である。原告は、被告が介護保険法11条1項の「住所を有しなくなった」の解釈について住民票消除に限定するという法的判断を行っており、それが介護保険料の徴収義務の存否に直接影響を及ぼしているから処分性がある旨主張した。これに対し被告は、介護保険の資格の得喪に関する処分を行うのは保険者たる市町村であり、健康保険組合は介護保険料の徴収を代行しているにすぎず、本件取消処分は住民票の消除の有無に基づく機械的処理であって処分性はない旨主張した。 【判旨】 大阪地裁は、本件訴えを却下した。裁判所は、介護保険第2号被保険者の保険料は市町村が直接徴収するのではなく、医療保険者が一般の医療保険料と一括して徴収する仕組みが採られていること、介護保険第2号被保険者の資格管理は基本的に医療保険者が行うことが想定されていること等の制度の仕組みを詳細に認定した上で、本件取消処分は、適用除外該当届の返戻と介護保険料徴収の予告通知にとどまり、直ちに原告にAに係る介護保険料の徴収に応ずべき具体的な義務を生じさせるものではないと判断した。そして、介護保険第2号被保険者の資格の得喪に関する不服は、その後に行われる保険料の納入告知という処分に対して審査請求又は取消訴訟を提起することで争うことができ、権利救済の機会は実質的に保障されているとした。したがって、本件取消処分は抗告訴訟の対象となる処分には当たらないと結論づけた。