AI概要
【事案の概要】 大阪市会議員であった被告は、大阪市会議員選挙に当選(再選)したが、公職選挙法違反(公職の候補者による買収)の罪により有罪判決(懲役1年・執行猶予5年)を受け、令和2年2月13日に同判決が確定した。これにより、公職選挙法251条に基づき被告の当選は無効とされた。原告(大阪市)は、被告に支給済みの議員報酬及び期末手当合計約1191万円(第1事件)と、被告が唯一の構成員である一人会派に交付された政務活動費合計約410万円(第2事件)について、不当利得返還請求権に基づき返還を求めた。被告は、実際に議員活動を行っており報酬との対価性がある、政務活動費も使途基準に適合した適正な支出であるなどと反論し、仮に不当利得が成立しても相殺により消滅すると主張した。 【争点】 1. 被告が法律上の原因なく議員報酬等により利益を受けたか(争点1) 2. 原告が被告の議員活動により利益を受けたか(争点2・相殺の可否) 3. 被告が法律上の原因なく政務活動費により利益を受けたか(争点3) 4. 原告が被告の調査研究活動等により利益を受けたか(争点4・相殺の可否) 【判旨】 裁判所は、公職選挙法251条による当選無効の効果は遡及的に生じ、被告は初めから議員の地位を取得しなかったと判断した。議員報酬及び期末手当は基本的に法律上議員の身分を有することの効果であるから、遡って失職した被告は法律上の原因なく利益を受けたとして、約1191万円全額の不当利得返還義務を認めた。一人会派に交付された政務活動費についても、会派が法人でなく構成員が被告のみであることから、被告個人が不当利得返還義務を負うとした。 他方、相殺の抗弁については、議員活動の金銭的評価は性質上極めて困難であり、議会の自律権との抵触のおそれもあるため、議員活動が事実として存在したか否かの限度で判断すべきとした。被告は身柄拘束を受けた21日間を除き各種議員活動に従事していたことから、当該期間を除いた議員報酬相当額約1115万円について原告も不当利得返還義務を負うと認定した。政務活動費についても、使途基準に適合した支出がなされていたことから、未使用分約85万円を除く約325万円について原告の不当利得返還義務を認めた。 相殺の結果、被告が原告に支払うべき金額は合計約160万円(第1事件約75万円、第2事件約85万円)となり、原告の請求を一部認容した。