不正競争行為差止等本訴請求,不正競争行為差止反訴請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1ネ1620
- 事件名
- 不正競争行為差止等本訴請求,不正競争行為差止反訴請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年1月10日
- 裁判官
- 山田陽三、倉地康弘、山田陽三
AI概要
【事案の概要】 食品添加物である殺菌料製剤の製造販売業者である被控訴人は、「PERFECT・PA(パーフェクト・ピュアーエース)」との商品表示を付した殺菌料製剤(高度サラシ粉12%含有と表示)をかつて販売していたが、平成21年に成分表示を改めた新商品(「ネオクリーンPA S」、高度さらし粉7.50%含有と表示)へ切り替えた。これに対し、控訴人らは、被控訴人の旧商品と同一の商品名・品質表示を付した殺菌料製剤を販売し続けた。 被控訴人は、控訴人らの販売行為が不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)及び14号(現20号、品質誤認表示行為)に該当するとして、販売差止め・廃棄・損害賠償を請求した。反訴として控訴人らは、被控訴人の新商品の品質表示も虚偽であると主張し、差止め・抹消を求めた。 原審(大阪地裁)は、控訴人らの品質誤認表示を認めて差止等を認容し、周知表示混同惹起行為も認容、損害賠償として約8250万円の限度で認めた一方、反訴請求はすべて棄却した。控訴人らが敗訴部分につき控訴した本件は、その控訴審である。 【争点】 主たる争点は、原告旧商品表示の周知性とその維持、被告旧商品・新商品との誤認混同のおそれ、被控訴人による表示使用の許諾の有無、損害賠償請求が権利濫用ないし信義則違反となるか、反訴における原告新商品の品質表示の虚偽性(主成分が高度サラシ粉か亜塩素酸ナトリウムか)、損害額推定(不正競争防止法5条2項)における競合品の範囲である。 【判旨】 大阪高裁は控訴をいずれも棄却した。原告新商品の成分が高度サラシ粉でないとの控訴人らの主張については、各種試験結果を踏まえても虚偽と認定するに足りず、控訴人らが原審の侵害論終結後に至って初めて成分鑑定を申し立てた審理経過にも照らし、採用できないとした。原告旧商品表示の周知性については、使用中止から本訴提起まで期間が経過していても、控訴人らが同一表示を付した商品の販売を継続していた事情はむしろ周知性を維持する方向に働くと判断し、需要者である数の子加工業者における出所誤認混同のおそれを肯定した。使用許諾の主張も前提を欠くとして退け、損害賠償請求の権利濫用・信義則違反の主張も理由がないとした。競合品該当性についても、粉剤・顆粒剤・錠剤の高度サラシ粉商品はプール用殺菌など用途・価格帯・需要者層が異なり、液剤である原告新商品の競合品とは認められないとして、原判決の損害認定を是認した。 本判決は、商品表示使用中止後も類似品販売が継続する場合における周知性維持の判断や、品質誤認表示の立証責任・審理過程における攻撃防御方法の提出時期、さらに損害額推定における競合品の認定方法について、実務上参考となる判断を示したものである。