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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
令和1行ケ10067
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年1月15日
裁判官
森義之佐野信熊谷大輔

AI概要

本件は、特許出願を拒絶した特許庁の審決の取消しを求めた審決取消訴訟である。知的財産高等裁判所第2部が令和2年1月15日に言い渡した判決であり、ローヤルゼリーを有効成分とする加齢性疾患予防用組成物に係る特許出願について、進歩性の有無が争われた事案である。 【事案の概要】 原告である株式会社山田養蜂場本社は、「加齢性疾患及び身体機能低下の予防用組成物及び予防用栄養組成物」と題する発明について特許出願をしたが、拒絶査定を受けたため不服審判を請求した。本願発明は、ローヤルゼリーを含有し、「加齢性の筋疾患又は筋力低下」と「加齢性の骨疾患又は骨密度低下」の両方を予防する用途で、1日当たり600〜14400mgをヒトに経口投与する組成物である。特許庁は、老人性骨粗鬆症の予防・改善剤としてローヤルゼリーを用いる引用文献1の発明と、ローヤルゼリーが加齢による筋力低下を抑制するとの知見を示す引用文献2の組合せから、当業者が容易に想到できたとして請求を不成立とする審決をした。原告は審決の取消しを求めて本訴を提起した。 【争点】 主な争点は、本願発明が引用発明及び引用文献2の記載に基づき当業者が容易に発明できたか(進歩性の有無)である。具体的には、(1)引用発明の認定の当否、特に引用文献1記載のローヤルゼリーの一日摂取量(0.001〜30g)を当業者が実施できるものとして認定できるか、(2)本願発明の「加齢性疾患及び身体機能低下」を「加齢性の筋疾患又は筋力低下」と「加齢性の骨疾患又は骨密度低下」に分けて引用発明と対比することの可否、(3)引用発明に引用文献2の記載を組み合わせる動機付けの有無、(4)本願発明で特定された投与量範囲(600〜14400mg)の数値的意義及び臨界的意義の有無、(5)本願発明の効果が当業者の予測を超える顕著なものといえるかが問題となった。 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却した。まず引用発明の認定について、引用文献1にはローヤルゼリーの一日摂取量として「好ましくは0.001〜30g」と明記されており、マウス試験の結果から体重換算でヒトの摂取量を導き出すことはできず、当業者は引用発明を実施可能と認識できるとした。次に、本願明細書には筋疾患と骨疾患を統合した一つの疾患概念(運動器疾患)についての記載はなく、両者は別個の疾患として例示されているにすぎないから、引用発明の「老人性骨粗鬆症」は本願発明の「加齢性の骨疾患又は骨密度低下」に相当すると判示した。そして、引用発明と引用文献2記載事項は、ローヤルゼリーの服用による加齢性身体機能低下の予防・改善という点で技術分野・課題・作用を共通にするから、これらを組み合わせる動機付けが認められるとした。投与量範囲については、本願明細書に下限値付近の試験データや上限値を超える比較データがなく、臨界的意義は認められないから、当業者が引用発明の摂取量範囲を参考に容易に設定できたとした。効果についても、本願出願当時のローヤルゼリーの摂取量の目安(500〜3000mg程度)が本願発明の範囲に含まれており、当業者の予測を超える顕著な効果とはいえないと判断した。本判決は、用途発明の進歩性判断において、明細書の記載に基づかない「運動器の連携」という統合的概念を排除し、個別の疾患ごとに引用発明との対比を行うべきとした点、および数値限定発明における臨界的意義の立証責任が出願人側にあることを改めて示した実務上重要な判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。