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行政

遺族厚生年金不支給処分取消等請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ウ135
事件名
遺族厚生年金不支給処分取消等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2020年1月16日
裁判官
松永栄治森田亮渡邊直樹

AI概要

【事案の概要】 原告は、老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者であった夫Aの死亡を受け、厚生労働大臣に対して遺族厚生年金の裁定請求とAの未支給年金等の支給請求を行った。しかし厚生労働大臣は、原告がAの死亡当時Aによって生計を維持されていたとも、Aと生計を同じくしていたとも認められないとして、いずれも支給しない旨の決定をした。本件は、原告がこれら不支給決定の取消しを求めた事案である。 原告とAは昭和49年に婚姻し3人の子をもうけたが、平成12年頃、Aはリストラで失職し、母子世帯として府営住宅の家賃減免を受けるため家を出て別居状態となった。その後十数年にわたり別居が続き、平成24年にはAの住民票が職権消除された。原告は平成26年に兵庫県内の戸建住宅へ転居し、長女・長男と同居。平成27年春頃から長女がAと連絡を取れるようになり、Aは一、二か月に1回程度、原告宅を訪問して世話をし、時に数万円の現金を長女に渡すこともあった。しかし長女らの同居提案にAは躊躇する態度を示し、平成28年4月にAは独居していたアパートで死亡した。 【争点】 原告が、Aの死亡当時にAによって生計を維持し、またはAと生計を同じくしていたと認められるか(厚生年金保険法59条1項、国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項)が争点となった。具体的には、通達である本件認定基準の定める生計同一要件を満たすか、仮に形式的に満たさない場合でも例外条項により生計維持関係を認めるべきかが問題となった。 【判旨】 大阪地裁は、請求をいずれも棄却した。 まず、遺族厚生年金の社会保障的性格に照らし、生計維持要件は現実の親族共同生活の実態に即して判断すべきであり、本件認定基準は事務処理の適正・迅速化の要請からも合理性を有するとした。もっとも形式的に生計同一要件を満たさない場合でも、個別事情により社会通念上「生計を同じくしていた」と認められる場合があり、例外条項該当性は当事者双方の消費生活上の家計が経済的一体性を有していた程度という観点から判断すべきとした。 本件では、原告とAは住民票上別世帯で住所も異なり、要件アおよびイを満たさない。また訪問頻度が一、二か月に1回程度で日帰りも多く、Aの生活本拠はアパートにあったから、現に起居を共にしていたとは認められず要件ウ(ア)を満たさない。別居の原因となった事情は解消していたにもかかわらず別居が継続し、同居の具体的予定もなかったから、やむを得ない事情による別居ともいえず要件ウ(イ)も満たさない。 例外条項該当性についても、Aの経済状況からすれば定期的な現金交付は考え難く、原告には妹の遺産残額や同居長男の収入があり、Aからの金銭の意味合いは限定的であったとして、経済的一体性は認め難いとした。離婚時年金分割制度との不均衡を訴える原告の主張についても、両制度は趣旨目的を異にするとして排斥した。 本判決は、長期間別居した夫婦間の遺族年金受給資格について、住民票記載の形式的判断と実質的経済一体性の両面から慎重に検討した事例として、社会保障実務に参考となる判断を示したものである。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。