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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10054
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年1月21日
裁判官
高部眞規子小林康彦関根澄子

AI概要

【事案の概要】 本件は、マッサージ機に関する特許(特許第6253829号、発明の名称「マッサージ機」)について、原告(株式会社フジ医療器)が被告(ファミリーイナダ株式会社)の保有する特許は無効であるとして特許無効審判を請求したところ、特許庁が「審判の請求は成り立たない」との審決(無効2018-800086号)をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。 本件特許の請求項1に係る発明は、背凭れ部と座部を有するマッサージ機において、背凭れ部に設けられた左右対の第一側壁と座部に設けられた第二側壁とを「一体的に形成された」側壁とし、その側壁に使用者の腰部を押圧する第一マッサージ部と臀部乃至大腿部を押圧する第二マッサージ部を設けた構成を特徴とする。原告は、①明確性要件違反(構成要件D「一体的に形成された」の意義が不明確)、②引用例1(特開2009-254408号公報)に基づく新規性欠如、③引用例2(特開2005-205234号公報)に基づく新規性欠如の3点を取消事由として主張した。 【争点】 主な争点は、(1)「一体的に形成された側壁」との文言が特許法36条6項2号の明確性要件を満たすか、(2)側壁が背凭れ部・座部自体に取り付けられているとの解釈の当否、及び引用発明1のアームレストが背凭れ部・座部に直接設けられているといえるか、(3)第二マッサージ部の施療対象部位(「臀部乃至大腿部」)の解釈、(4)引用発明2の壁部12wと壁部13wが一体的側壁を構成するといえるか、である。 【判旨】 知財高裁は、次のとおり判断し、原告の請求を棄却した。 まず明確性要件について、明細書の記載(座部と背凭れ部は一体的、フットレストは上下回動可能等)を踏まえれば、「一体的に形成」とは、第一側壁と第二側壁とが一つの部材から形成されているか、別部材であっても接合等により動かないように形成されていることをいうと解釈でき、第三者に不測の不利益を及ぼすほど不明確とはいえないとした。 次に引用発明1については、明細書上アームレストは背凭れ部・座部の側方に配設されるにすぎず、図面の後傾態様から見てもアームレストが背凭れ部・座部自体に取り付けられているとは認められず、エアセル7bもアームレスト自体ではなく座部上面から立設する袋内に設けられていると認定。また、「臀部乃至大腿部」の文言は、移動しないエアセルが臀部から大腿部にかけての範囲を施療することを意味するものであり、移動可能なマッサージユニットに用いられる「又は」と意識的に使い分けられていると解した上で、引用発明1のエアセルとは施療範囲が異なると判断した。 引用発明2についても、背凭れ部がリクライニング可能である以上、壁部13wは壁部12wに対し相対移動するため「一つになって分けられない側壁」とはいえず、本件発明の「側壁」に相当する構成がない。また後側空気袋は「臀部及び腰部」を、前側空気袋は「大腿部」を施療するもので、腰部と臀部乃至大腿部を別個のマッサージ部で押圧する本件発明とは施療対象部位が異なる。 以上より、相違点1~4はいずれも実質的相違点であり、本件各発明は引用発明1・2と同一とはいえず、特許法29条1項3号に該当しないとした審決の判断に誤りはないと結論づけた。本判決は、特許請求の範囲の「乃至」「又は」といった助詞の使い分けを明細書の構造(移動不能なエアセルと移動可能なマッサージユニットの対比)に照らして厳密に解釈した点に実務的意義があり、椅子型マッサージ機における側壁・エアセル配置の技術的特徴づけに関する判断の参考例となる事案である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。