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特許料納付書却下処分取消請求事件

判決データ

事件番号
令和1行ウ278
事件名
特許料納付書却下処分取消請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年1月22日

AI概要

【事案の概要】 本件は、特許権の年金(特許料)納付を怠ったために消滅したとみなされた特許権について、納付期限経過後の追納も期限内にできなかったことに「正当な理由」があったかが争われた事案である。 原告中井紙器工業は、化粧料用容器の中枠に関する発明につき、平成25年に特許権の設定登録を受け、第1年から第3年分の特許料を納付した。年金管理事務は、約18年にわたり出願・審査・登録等を委任してきたA弁理士に任せていた。 ところが、同社が提起された特許無効審判では、平成27年に特許庁が無効審決の予告を行ったため、原告は代理人をA弁理士からB弁理士らに変更し、同年6月1日、A弁理士に対し無効審判手続の委任解除を告げた。A弁理士は、このとき本件特許権に関する全ての委任(年金管理を含む)が解除されたと理解し、以後、年金納付期限のリマインダーを送らなかった。 その後、原告中井紙器は無効審判請求人である原告グラセルと平成28年3月、持分1%をグラセルに譲渡して無効審判・審決取消訴訟を相互に取り下げる和解契約を締結した。しかし、第4年分の特許料(納付期限・平成28年1月18日)も追納期限(同年7月19日)も納付されず、本件特許権は消滅したものとみなされた。 原告らは同年9月に追納の特許料納付書を提出し正当な理由があると主張したが、特許庁長官は正当な理由を認めず却下処分をしたため、原告らがその取消しを求めた。 【争点】 特許法112条の2第1項にいう「正当な理由」、すなわち原特許権者(代理人を含む)が相当な注意を尽くしていたにもかかわらず追納期間内に特許料等を納付できなかったといえるか否かが争点となった。具体的には、A弁理士の年金管理に関する委任解除の誤認が人為的ミスに当たり特殊事情といえるか、特許権者自身および共有者である原告グラセルが納付状況確認義務を尽くしていたかが問われた。 【判旨】 東京地裁は、請求をいずれも棄却した。まず、特許料納付の期限管理や支払確認は、代理人に手続を委ねていても特許権者の基本的業務であって容易になし得ると指摘。原告中井紙器は係争中の特許について納付期限を認識し確認する立場にありながら、A弁理士からの連絡を待つのみで自ら調査・確認せず漫然と期限を徒過しており、相当な注意を尽くしたとはいえないと判断した。 次に、A弁理士の誤認の主張については、年金管理事務は出願・無効審判等の手続代理に付随する性質をもち、部分的な解任なら明示されるのが通常であるのに、原告からそのような説明があったとはうかがえないとして、本件特許に関する包括的委任が解除されたとの同弁理士の理解は不自然とはいえず、誤信に基づく人為的ミスとは認められないとした。 また、原告グラセルについても、無効審判の当事者として納付期限を認識し得たうえ、和解契約で特許権の持分を取得する以上、権利の有効な存続を確認するのが通常であり、中井紙器に確認すれば未払を容易に把握できたにもかかわらずこれを怠ったとして、相当な注意を尽くしたとはいえないと認定。 さらに、特殊事情の主張についても、特許権者として通常の注意を払えば容易に回避できた事態であり、ガイドラインにいう通常起こり得ない特殊事情には該当しないと退け、本件却下処分を適法と結論づけた。共有特許権における共有者双方の納付管理義務を明確にした判断として、実務上参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。