都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3137 件の口コミ
下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ30300
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年1月23日
裁判官
伊藤正晴小島清二大須賀謙一

AI概要

【事案の概要】 本件は,被告が開設する病院において,医師がエコーガイド下での経皮的肝生検を実施した際,誤って肺を穿刺し,血液中に混入した気泡により脳空気塞栓症を発症させ,患者に左片麻痺等の重度の後遺障害を生じさせたとして,患者及びその家族が,不法行為(または債務不履行)に基づき,被告病院に対し総額約2億2千万円の損害賠償を求めた医療過誤事件である。 原告A(本件肝生検時61歳の女性)は,BMI48.9と極度の肥満体型で,肝硬変ないし非アルコール性脂肪性肝炎の疑いがあるとして,肝臓の組織学的状態を把握する目的で本件肝生検を受けた。医師は5回にわたり穿刺を行ったが,採取された検体には肺組織のみが認められ,肝実質は同定されなかった。生検直後に原告Aは意識を喪失し,画像検査で右半球に広範な空気塞栓を疑わせる所見が認められ,左片麻痺及び感覚障害の後遺障害が固定した。 【争点】 主な争点は,①エコーガイド下ではなくCTガイド下又は腹腔鏡下で肝生検を実施すべき注意義務違反の有無,②エコーで臓器を十分描出できない状況での盲目的穿刺を避けるべき注意義務違反の有無,③本件過失と後遺障害との因果関係,④損害額である。被告側は,エコー画像で肝被膜等は確認できており,5回目の穿刺時に原告Aが指示に反して深く息を吸ったため肺が下方に移動して誤穿刺に至ったと主張した一方,原告側は,極度の肥満で肝硬度検査も中止された経緯があり,穿刺回数5回中肝実質が全く採取できず肺組織のみが採取された事実等から,そもそもエコーで臓器を十分に視認できない状態で穿刺が強行されたと主張した。 【判旨】 東京地裁は,看護師作成の観察表の信用性を認め,医師の証言のうち穿刺針の種類や原告Aの吸気に関する部分は採用できないとした。そして,エコーガイド下の肝生検は比較的安全で肺穿刺は通常合併症として挙げられず,その確率が文献上0.0014%とされているにもかかわらず,本件では5回の穿刺で肝実質が全く採取できず肺実質まで穿刺していること,原告Aの極度の肥満により本件肝硬度検査が皮下脂肪の厚さのため中止されていることなどの事情を総合し,本件肝生検におけるエコー画像では原告Aの肝臓等を十分に描出,確認できる状態ではなかったのに,医師が穿刺を繰り返し強行した注意義務違反(本件過失)があったと認定した。肺誤穿刺による空気塞栓症の発症については,肺穿刺すれば空気塞栓が生じ脳に至り得ることは医学的に明らかであるとして予見可能性を肯定し,本件過失と後遺障害との因果関係も認めた。損害額は,後遺障害等級を自賠法施行令別表第1の2級相当と認定し,後遺障害慰謝料2200万円,逸失利益約2948万円,将来介護費約4276万円等を算定した上,弁護士費用を含め原告Aに約1億2799万円,夫に110万円,子2名に各55万円の支払を命じた。 本判決は,エコーガイド下肝生検における誤穿刺事案につき,穿刺結果(採取検体の内容)や患者の体型といった客観的事情から描出不十分を推認する判断手法を示した点,及び臓器描出が不十分な状態での穿刺強行を具体的な注意義務違反として明示した点に実務的意義があり,画像ガイド下侵襲的検査における医師の描出確認義務の水準を示す参考事例といえる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。