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下級裁

殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反

判決データ

事件番号
平成29う501
事件名
殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
2020年1月27日
裁判官
村山浩昭畑口泰成宇田美穂

AI概要

【事案の概要】 本件は、兵庫県洲本市(淡路島)で平成27年3月9日に発生した近隣住人5名の殺害事件の控訴審判決である。被告人は、日本国政府や同調する工作員が電磁波兵器・精神工学兵器を使用して個人に攻撃を加える「精神工学戦争」が行われているとの思想を持ち、近隣のA一家・B一家はその工作員であるとの妄想を抱いていた。同日未明から朝にかけ、被告人は両家を相次いで襲撃し、サバイバルナイフで各被害者を10回以上、多い者では30回以上突き刺して5名全員を殺害した。犯行時にはボイスレコーダーを携帯して一部始終を録音し、犯行直後にはインターネット上に「復讐一部成功。裁判になるのでもう会えないと思います」と投稿している。 一審(原審裁判員裁判)は、原審鑑定人の見解に依拠し、被告人は薬剤性精神病に罹患していたものの病状が悪化していたわけではなく、殺害を決意し実行した意思決定の過程に病気の症状は大きな影響を与えていなかったとして完全責任能力を認め、死刑を宣告した。弁護人は、被告人は犯行時、統合失調症ないし妄想性障害の影響により心神喪失ないし心神耗弱の状態にあったとして控訴した。 【争点】 主たる争点は、犯行時における被告人の責任能力の有無・程度である。前提として、原審鑑定(薬剤性精神病)と控訴審で実施された精神鑑定(妄想性障害)のいずれを責任能力判断の基礎とすべきかが問題となった。 【判旨(量刑)】 大阪高等裁判所は、原判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した。 裁判所はまず、当審鑑定人と原審鑑定人双方の見解を詳細に比較検討し、当審鑑定の方が信用性が高いと判断した。すなわち、被告人は、祖父の自殺を契機として被害妄想を発症し、生来の自閉スペクトラム症や人格特性を基盤に長年かけて妄想体系を構築してきたものであり、犯行時は妄想性障害が重篤化し、強い被害妄想の影響下にあったと認定した。リタリン乱用中止から相当期間経過後の薬剤性精神病とする原審鑑定には医学的蓋然性に乏しい点があるうえ、原審鑑定人の見解は当審で実質的に変更されており、信用性に疑問があると指摘した。 そのうえで、責任能力について、被告人は本件行為の違法性を認識していたから事理弁識能力は最低限保たれていたが、妄想性障害に基づく強い妄想の影響により、復讐と精神工学戦争の実在を明るみに出すという妄想的動機に従って犯行に及んだもので、本件犯行を思いとどまる制御能力は著しく減退していたと判断した。ただし、命令性の幻覚や切迫した恐怖感はなく、他行為選択の余地が完全に失われていたとまではいえないため、制御能力は完全には失われていなかったとして心神耗弱を認定した。 破棄自判に際しては、5名の尊い人命が残虐な態様で奪われた本件の重大悪質性に鑑み、各殺人罪について死刑を選択したうえで、刑法39条2項により法律上の減軽を行い、いずれも無期懲役に止めた。妄想性障害に基づく行為についても、具体的な妄想のあり様によっては心神耗弱が認められうることを示した点で実務的意義のある判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。