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下級裁

自衛隊出動差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成28行ウ167
事件名
自衛隊出動差止等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2020年1月28日

AI概要

【事案の概要】 本件は、平成26年7月の閣議決定(「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」)及び平成27年9月に成立したいわゆる安全保障関連2法(自衛隊法等の一部を改正する整備法・国際平和支援法)が憲法9条に反するとして、原告らが国を相手に提起した一連の訴訟である。 原告らは、①行政事件訴訟法3条7項の差止めの訴えとして、存立危機事態における自衛隊の防衛出動命令(自衛隊法76条1項2号の2号出動命令)、重要影響事態法に基づく後方支援活動としての物品・役務の提供、国際平和支援法に基づく協力支援活動としての物品・役務の提供、及び国連PKO協力法上の「駆け付け警護」業務命令の各差止めを求めるとともに、②国家賠償法1条1項に基づき、内閣による閣議決定及び国会議員による立法行為によって原告らの平和的生存権、人格権及び憲法改正決定権が侵害されたとして、各1万円の慰謝料の支払を求めた。 【争点】 争点は、ⅰ差止めの訴えの対象となる各行為(2号出動命令、後方支援活動としての物品の提供等、駆け付け警護等業務命令)に行政事件訴訟法3条2項の「処分性」が認められるか、ⅱ原告らが主張する平和的生存権、人格権、憲法改正決定権が国家賠償法上の保護法益に当たるか、であった。 【判旨】 大阪地裁は、請求をいずれも退けた。 差止請求については、2号出動命令は内閣総理大臣から自衛隊という下級行政機関に対する命令であり、行政機関相互の行為にすぎないから、直接国民の権利義務を形成・確定するものではないと判断した。後方支援活動・協力支援活動としての物品提供や役務提供命令、駆け付け警護等業務命令も同様に、国民の権利義務を直接変動させるものではないとして、いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないと結論づけ、差止めの訴えを却下した。原告らが援用した土地区画整理事業計画決定に関する最高裁平成20年9月10日大法廷判決についても、事業計画決定のように法律上必然的に換地処分へと続く仕組みとは異なり、出動命令から国民への権利制限が直ちに生じる法的仕組みは存在しないとして退けた。 国家賠償請求については、憲法前文の「平和のうちに生存する権利」は基本的理念ないし崇高な目的として宣言されたものであり、その内容を一義的に確定することは困難で、個々の国民に裁判規範たりうる具体的権利として保障されたものと解することはできないとした。人格権侵害の主張についても、本件各行為から約4年が経過した口頭弁論終結時点において現実に2号出動命令や後方支援活動等が発動された事実はなく、基地周辺の騒音・事故が増加した事実も認められないから、生命・身体・健康等への具体的危険が発生したとはいえないと判示した。戦争体験者等が抱く不安や精神的苦痛も、代表民主制を採る憲法下では立法行為に伴い一般に広く生じ得る抽象的不安感にとどまり、社会通念上受忍すべき限度を超えるとはいえないとした。憲法改正決定権については、憲法96条1項は国会の発議と国民投票の手続を定めたにすぎず、「閣議において憲法違反の決定をされない権利」や「憲法違反の法律を制定されない権利」を個別具体的に保障したものではないとして、法律上保護される権利性を否定した。 本判決は、全国各地で提起された安保法制違憲訴訟の一つであり、差止めの訴えの対象の「処分性」という行政訴訟の入口の問題と、平和的生存権・人格権・憲法改正決定権の具体的権利性という本案の保護法益論の双方に踏み込んだ事例として、実務上重要な意義を持つ。裁判所は安保法制の合憲性そのものには踏み込まず、訴訟要件と保護法益の欠如を理由に退ける判断枠組みを示したものである。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。