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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10016
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年1月29日
裁判官
森義之眞鍋美穂子佐野信

AI概要

【事案の概要】 本件は、特許無効審判請求に対する不成立審決の取消しを求めた訴訟である。被告(株式会社豊田自動織機)は、「ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造」に関する特許(特許第4304544号)の特許権者であり、カーエアコン等に用いられる斜板式コンプレッサーにおいて、回転軸と一体化したロータリバルブで冷媒の吸入を制御しつつ、同ロータリバルブの外周面がシリンダブロック側の軸孔内周面に直接支持されることで軸受機能を兼ね備える点に特徴がある。 原告(ハノンシステムズ・ジャパン株式会社)は、同特許の請求項1について、日本電装公開技報等に記載された発明を引用し、新規性がない、または当業者が容易に発明できたものであるとして、特許庁に無効審判を請求した。特許庁は平成30年12月に「請求は成り立たない」との審決をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に本件訴訟を提起したものである。 なお、本件特許については、原告が過去にも別の無効審判を請求しており(平成27年)、その不成立審決の取消訴訟でも原告の請求が棄却され確定している。本件はいわば再度の無効審判に対する審決取消訴訟という位置づけにある。 【争点】 主要な争点は、本件特許発明の新規性および進歩性、具体的には、引用発明と本件特許発明との相違点(ロータリバルブの構成、冷媒吸入通路の連通態様、ラジアル軸受手段の位置づけ、圧縮反力伝達手段の存在等)が実質的な相違点といえるか、また当業者がこれらの構成を容易に想到できたかである。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。 まず、各引用発明には、ロータリバルブが冷媒の吸入を制御することや、ロータリバルブ外周面が軸孔内周面に直接支持されて唯一のラジアル軸受手段を兼ねる構成について、明確な開示がないと認定した。特に、吸入通路がピストンが下死点に位置したときに開口する構造においては、ピストン自体により逆流が防止されるため、あえてロータリバルブを別途設ける動機付けが存在しないと指摘した。 また、引用発明において円錐コロ軸受等がラジアル軸受とスラスト軸受を兼ねている場合、これをあえて分離してロータリバルブ自体に軸受機能を担わせる構成に変更することには、設計上の阻害要因があり、当業者が容易に想到できたとはいえないと判断した。 さらに本件特許発明の「カム体からロータリバルブ側における回転軸の部分に関する唯一のラジアル軸受手段」という文言について、本件明細書の記載と整合する形で解釈すべきであり、原告が主張するような限定的解釈は採用できないとした。 以上から、いずれの無効理由も理由がないとして、特許庁の審決に取消事由はないと結論づけた。本判決は、回転軸と一体化した部材が軸受機能を兼ねるという複合的な機構について、引用発明からの設計変更の動機付けと阻害要因を丁寧に検討しており、機械分野の進歩性判断における参考事例といえる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。