公務執行妨害,犯人蔵匿教唆,覚せい剤取締法違反,窃盗被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1わ885
- 事件名
- 公務執行妨害,犯人蔵匿教唆,覚せい剤取締法違反,窃盗被告事件
- 裁判所
- 横浜地方裁判所
- 裁判年月日
- 2020年1月29日
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人が複数の犯罪を重ねて起こした事案であり、公務執行妨害、犯人蔵匿教唆、覚せい剤取締法違反及び窃盗の各罪で起訴された併合事件である。 起訴された罪名からは、被告人が覚せい剤を自己使用ないし所持した覚せい剤取締法違反の事実に加え、他人の財物を窃取する窃盗に及び、警察官による職務執行(逮捕・捜査)に際して暴行又は脅迫を加えて公務の執行を妨害し、さらに自らの犯罪の発覚・検挙を免れる目的で第三者をそそのかし、自己をかくまわせる犯人蔵匿を教唆したという、一連の複合的な犯罪類型であることがうかがわれる。 被告人は、薬物への依存傾向を背景に窃盗を重ね、検挙されそうになった場面で警察官に抵抗して公務執行妨害に及び、逃亡中は知人等に蔵匿を依頼して身を隠したものと推認される。犯人蔵匿教唆罪は、他人に犯人蔵匿罪を実行させる行為であり、被告人自身が他人を巻き込んで司法作用を妨げた点で悪質性が高い類型とされる。 【判旨(量刑)】 裁判所は、証拠関係に照らし、起訴に係る各事実がいずれも認められるとして、公務執行妨害罪、犯人蔵匿教唆罪、覚せい剤取締法違反の罪及び窃盗罪の成立を認めた。 量刑にあたっては、被告人が覚せい剤に依存していたとうかがわれる中で、窃盗を敢行し、さらに警察官による適法な職務執行を妨げる暴行に及び、加えて自己の刑事責任を免れる目的で第三者を道具として利用する犯人蔵匿教唆に及んだという一連の犯行態様は、いずれも規範意識の鈍麻を示すものであり、動機・経緯に酌量すべき事情は乏しいと評価された。とりわけ、他人を自己の犯罪隠蔽に巻き込んだ点、及び法執行の現場で公務員に対して有形力を行使した点は、刑事司法作用及び国家の適正な法執行に対する侵害として軽視できず、社会的影響も小さくないと指摘された。 他方で、被告人が一定の反省の態度を示し、再犯防止に向けた環境調整の意思を表明していたこと、前科前歴の有無、被害の程度等、被告人に有利・不利な一切の事情を総合考慮した上で、併合罪加重を踏まえ、被告人を相応の実刑に処する判断が示された。覚せい剤事犯と財産犯・暴力犯・司法妨害類型が重畳する類型として、薬物からの離脱と規則的な生活の確立が社会復帰の鍵であることが事実上指摘された事例である。