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知財

特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成31ワ4944
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年1月30日
裁判官
柴田義明安岡美香子古川善敬

AI概要

【事案の概要】 本件は、「結ばない靴ひも」として知られる商品「キャタピラン」に関する特許権侵害訴訟である。原告(株式会社ツインズ)は「チューブ状ひも本体を備えたひも」に関する特許権(本件特許権1)及び関連特許権を、被告Aほか2名と共同で保有しており、原告・被告A・B・Cの4者は平成25年4月に共同出願契約を締結していた。同契約13条では「事前の協議・許可なく、本件の各権利を新たに取得し、又は生産・販売行為を行った場合、本件の各権利は剥奪される」との定め(本件定め)があり、特許法73条2項の「別段の定め」に該当することに争いはなかった。 キャタピランは、Cが中国で製造、Bが梱包、被告Aが仕入れて輸出、原告が日本で輸入・販売するという商流で販売されていたが、被告Aが最低購入数量保証や大幅値上げを求めたことなどから原告との関係が悪化し、原告は平成28年4月以降、他の共有者の同意を得ずに独自に実施品を製造・販売(原告販売行為)した。一方、被告Aは平成28年12月に被告会社(株式会社COOLKNOT JAPAN)を設立し、平成29年4月から原告の同意なしに実施品「COOLKNOT」を販売(被告販売行為)した。原告は、被告販売行為が本件定めに違反し特許権を侵害するとして差止め・損害賠償を求めるとともに、被告Aの共有持分の剥奪を主張し、また被告らによる一連の営業活動が一般不法行為に該当すると主張した。 【争点】 主たる争点は、(1)原告が先行して本件定めに違反している状況下で、被告販売行為がなお本件定めに違反して原告の持分権を侵害するといえるか、(2)被告Aが持分権を喪失したといえるか、(3)被告らの一連の営業活動が共同不法行為を構成するか、である。 【判旨】 請求棄却。裁判所はまず、本件定めの解釈として、共有者の一人が違反した場合、違反者は「他の共有者に対して実施の許可を与えたり、許可を与えないとしたりする根拠を失う」のであり、その結果、違反者以外の共有者は、違反者との事前の協議・許可を得なくとも他の共有者との協議・許可により特許発明を実施できるようになると判示した。 これを本件に当てはめると、原告は平成28年4月以降の原告販売行為により本件定めに既に違反しており、その結果、他の共有者の実施に対して許可を与えたり与えないとしたりする根拠を失っていた。したがって、被告Aは平成29年4月時点で原告の協議・許可を得ることなく本件特許権1を実施できたのであり、被告販売行為は本件定めに違反するものではなく、原告の持分権を侵害しない。これに伴い、被告Aの持分喪失を前提とする移転登録請求等も理由がないとされた。 一般不法行為の成否についても、被告Aによる最低購入数量保証や値上げ要求には販売実績の低迷や中国の人件費高騰といった相応の背景があり、商流排除目的とは認められないこと、キャタピランと被告製品を同一視する宣伝は両者が実際に同一の実施品である以上フリーライドとは評価できないこと、スパンデックスとラテックスの耐久性に関する説明も虚偽とはいえないこと、中間判決に関するプレスリリースにも誤認を招く記載がないことなどから、いずれも社会通念上自由競争の範囲を逸脱する不公正な行為とは認められないとして、共同不法行為の成立を否定した。 本判決は、特許法73条2項の「別段の定め」として置かれた「権利剥奪条項」の効果について、違反者から他共有者に対する許否権限を失わせるものと解することで、先に違反した当事者が後発違反者の実施を差し止めることを認めない枠組みを示した点に意義がある。共同開発・共同出願における実施制限条項のドラフティングと運用に重要な示唆を与える裁判例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。