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下級裁

原爆症認定申請却下処分取消等請求事件

判決データ

事件番号
平成26行ウ104
事件名
原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2020年1月31日
裁判官
山﨑岳志

AI概要

【事案の概要】 本件は、昭和20年8月9日の長崎原爆の被爆者である亡A、原告B及び亡C(以下「本件各被爆者」)が、それぞれ原子爆弾被爆者援護法11条1項に基づく原爆症認定を申請したところ、厚生労働大臣から却下処分を受けたことから、これら却下処分の取消しと国家賠償法1条1項に基づく慰謝料等(各300万円)の支払を求めた事案である。亡Aは食道がん、原告Bは心筋梗塞、亡Cは大腸がん及び胆管がんを申請疾病としていた。本件各被爆者はいずれも爆心地から約3.5〜4.4km地点で長崎原爆に被爆した遠距離被爆者であり、うち亡Cは被爆当時4歳7か月で、被爆直後から3日間にわたり父とともに爆心地付近へ立ち入ったとされる入市被爆者でもあった。原爆症認定には、申請に係る負傷・疾病が原爆放射線に起因するものであること(放射線起因性)と、現に医療を要する状態にあること(要医療性)の両要件が必要とされる。厚生労働大臣は、医療分科会が策定した新審査の方針(積極認定の範囲等を定めた目安)に従って審査を行い、いずれの申請も放射線起因性が認められないとして却下していた。 【争点】 主たる争点は、(1)原爆症認定における放射線起因性の立証の程度及び判断枠組み、(2)各申請疾病(食道がん、心筋梗塞、大腸がん・胆管がん)の放射線起因性の有無、(3)却下処分が国家賠償法上も違法といえるか否かであった。原告らは、放射線被曝の影響に関する科学的知見の限界等から立証の程度は軽減されるべきであり、新審査の方針の基準に該当する以上、放射線起因性は推定されると主張した。これに対し被告は、DS02に基づく被曝線量評価を前提に、原因確率等を定量的に算定して個別判断すべきであると主張した。 【判旨】 裁判所(大阪地裁第2民事部・三輪方大裁判長)は、放射線起因性の立証は高度の蓋然性の証明を要するという最高裁平成12年判決の枠組みを維持したうえで、放射線被曝と疾病との関係に関する科学的知見には一定の限界があることから、医学的・病理学的機序の直接証明までは要求せず、被曝線量、疫学的知見に基づく関連性、当該疾病の症状の推移、他の危険因子の有無・程度、既往歴等を総合的に考慮して判断するのが相当であるとした。また、DS02による初期放射線の被曝線量評価は相当の科学的合理性を有するが約30%の誤差があり、爆心地から約1500m以遠では過小評価となっている疑いがあること、誘導放射線や放射性降下物による外部・内部被曝が新審査の方針では十分に評価されていない疑いがあることを指摘した。そのうえで、亡Aの食道がんについては、爆心地から約4.3km地点の被爆で初期放射線被曝は軽微であり、多量の飲酒及び長年の喫煙という強い危険因子が認められることから放射線起因性を否定し、本件A却下処分を適法とした。原告Bの心筋梗塞についても、爆心地から約3.5km地点の被爆で、糖尿病・高血圧・高脂血症・長年の喫煙といった複数の主要な危険因子が存在することから放射線起因性を否定し、本件B却下処分を適法とした。他方、亡Cについては、被爆当時4歳7か月と幼齢であり、被爆直後から3日間にわたり父に伴われて爆心地付近を歩き回り、その後も長期間にわたり付近の井戸水を飲用し畑の作物を摂取するなどして誘導放射化物質や放射性降下物による外部被曝・内部被曝を受けた可能性が具体的に認められること、被曝時の年齢が低いほど発がんリスクが高まることを総合考慮すると、大腸がん及び胆管がんについて放射線起因性を認めるのが相当であるとし、要医療性も肯定して、本件C却下処分を違法として取り消した。他方、国家賠償請求については、却下処分が結果的に違法であっても、厚生労働大臣が疾病・障害認定審査会の意見を聴き、その意見に明らかな誤り等の特段の事情が認められない以上、職務上通常尽くすべき注意義務違反は認められないとして、原告らの請求をいずれも棄却した。結論として、原告Cの本件C却下処分取消請求のみを認容し、その余の請求はいずれも棄却された。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。