一般乗合旅客自動車運送事業事業計画変更認可処分等取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、東京近郊で一般乗合旅客自動車運送事業(路線バス)を営む既存事業者である控訴人らが、国土交通大臣が訴外の事業者に対して行った一般乗合旅客自動車運送事業の事業計画変更認可処分(本件処分1、道路運送法15条1項)及び上限運賃設定認可処分(本件処分2、同法9条1項)の取消しを求めた事案である。原審東京地裁は、控訴人らに原告適格がないとして訴えをいずれも却下したため、控訴人らが控訴した。道路運送法は平成12年改正で需給調整規制を廃止し、一般乗合旅客自動車運送事業への新規参入を原則自由化しており、既存事業者は新規参入に伴う競争圧力にさらされる立場にある。 【争点】 既存の一般乗合旅客自動車運送事業者である控訴人らに、本件各処分の取消しを求める原告適格(行政事件訴訟法9条)が認められるか。具体的には、道路運送法15条1項・9条1項の趣旨が、同法や交通政策基本法・地域公共交通活性化再生法等の関係法令に照らし、既存事業者が路線を安定的・継続的に運行する営業上の利益を、一般的公益に吸収解消されない個別的利益として保護しているか否かが争われた。 【判旨】 本件各控訴をいずれも棄却。東京高裁は、道路運送法1条は道路運送事業の適正合理的な運営を利用者の利益保護及び道路運送の総合的発達を達成するための手段と位置づけているにとどまり、既存事業者の安定的経営の確保を個別的利益として保護する趣旨は読み取れないと判示した。同法30条2項の不当競争禁止規定も「公衆の利便を阻害する行為の禁止等」を表題としており、既存事業者の営業上の利益を個別的に保護するものではない。地域協議会・地域公共交通会議は平成12年・18年改正時の附帯決議を受け規制緩和の弊害に配慮して整備されたもので、道路運送法に設置根拠を置く組織とはいえず、その存在をもって同法の解釈を左右するものではない。交通政策基本法や活性化法も国民生活の安定向上等を目的とするにとどまり、活性化法はむしろ自由競争を前提としてその弊害に対処するものと位置づけられる。上限運賃認可制度(9条1項)も過剰利潤の防止による利用者保護を趣旨とし、低額運賃防止による既存事業者保護の趣旨を含むものではない。よって控訴人らの原告適格を否定した原判決は相当である。