債務不存在確認等、充当処分取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1行コ95
- 事件名
- 債務不存在確認等、充当処分取消請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年2月7日
- 裁判官
- 石井寛明、三宅康弘、上田賀代
AI概要
【事案の概要】 亡Cの子である控訴人A・Bと亡Dの三者は、平成6年、亡Cの相続につき、亡Dが遺産不動産全てを取得し、代償として控訴人らに各5000万円を支払う旨の遺産分割協議を成立させた。控訴人らは各約1815万円の相続税を納付したが、亡Dが自己の相続税(本件亡D相続税)を滞納したため、大阪国税局長は、相続税法34条1項に基づき、控訴人らが本件相続により受けた利益の限度で連帯納付義務を負うとして、控訴人Bの所得税還付金(合計10万1731円)を充当し、控訴人Aから預金差押え等により3154万5500円を徴収した。控訴人らは、代償金を現実に受領していない以上連帯納付義務は負わず、これを負わせることは憲法29条に反する等と主張し、被控訴人(国)に対し還付金及び還付加算金の支払並びに充当処分の取消しを求めた。原審はいずれも棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 ①相続税法34条1項の「受けた利益」の解釈(代償金の現実の支払が必要か、代償債権取得時点で足りるか)、②控訴人らに対する督促状発送の有無、③連帯納付義務を負わせることの憲法29条適合性、④徴収権の消滅時効の完成の有無(平成24年改正による附従性修正の効果)が争点となった。 【判旨】 大阪高裁は控訴を棄却した。①代償分割は共同相続人が相続権に基づき代償債権を取得するものであり、遺産分割成立時に代償債権相当額の利益が発生するから、現実の代償金支払がなくとも「受けた利益」は認められる。国税徴収法39条は詐害行為取消と同様の趣旨で第二次納税義務を定めるものであるのに対し、相続税法34条1項は遺産全体に対する相続税徴収確保のための連帯納付義務であり、両者の立法趣旨は異なる。②証拠上、G税務署長は平成7年7月19日に督促状を発したと認められる。③代償債務が履行されなかった不利益は控訴人ら自身が甘受すべきもので、固有財産で連帯納付義務を負担する結果が憲法29条に違反するとはいえない。④相続税法34条1項の連帯納付義務は保証債務に類似する性質を有し、本来の納税義務者に対する時効中断の効果は民法457条1項に準じて連帯納付義務者に及ぶ。亡Dは平成6年から平成24年まで5年未満の間隔で納付を繰り返しており、本件連帯納付義務の消滅時効は完成していない。