更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 酒類製造者である控訴人(原審原告)は、自社が製造する発泡性酒類(商品名「極ZERO」)について、当初、酒税法23条1項1号の「発泡性酒類」(税率1キロリットルにつき22万円)に該当するとして酒税の申告(一部修正申告を含む)を行っていた。しかし、その後、本件製品は同条2項3号ロの「その他の発泡性酒類」(税率1キロリットルにつき8万円)に該当するとして、平成25年3月から平成26年6月までの各月分の酒税について、各製造場を管轄する札幌A・仙台B・C・D・E税務署長に対し更正の請求を行った。これに対し各税務署長は、更正すべき理由がない旨の各通知処分を行ったため、控訴人が被控訴人(国)に対し本件各処分の取消しを求めたのが本件である。原審東京地裁は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 争点は、(1)酒税法施行令20条2項の「麦芽及びホップを原料の一部として発酵させたもの」の意義、特に「発泡酒」として完成するために全ての原料が投入された後のものについてアルコール発酵が必要かどうか、(2)極ZEROベース発泡酒の全ての原料投入後にアルコール発酵があったと認められるか(事実認定)、(3)本件各処分の通知書に付記された理由が行政手続法8条1項本文の要求する理由提示の程度を満たしているか(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決の射程を含む)、である。 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は、酒税法施行令20条2項の「麦芽及びホップを原料の一部として発酵させたもの」とは、文理上、麦芽及びホップを含む当該発泡酒の全ての原料を投入した後のものを発酵させて製造したものをいうと解するのが相当であるとした。発酵途中の製品であっても、特定の段階で主発酵が終わり「こさない又は蒸留しない酒類」に該当するものとなった後に、水以外の物品で同一品目以外のものが混和された場合には新たに酒類が製造されたものとみなされる制度を前提に、極ZEROベース発泡酒は新たな酒類製造とみなされるものであり、全原料投入後にアルコール発酵が認められない以上、同項の発泡酒には該当しないと判断した。東京国税局担当官の照会回答(甲11)の解釈についても控訴人主張に沿う内容は認められないとした。争点(3)についても、本件各処分の通知書には、問題となる要件、その解釈、事実関係、当てはめの結論という判断過程が記載されており、行政手続法8条1項本文の要求を満たし、最高裁平成23年判決の趣旨にも反しないとして、理由提示に不備はないと判示した。以上により原判決は相当として控訴を棄却した。