AI概要
【事案の概要】 本件は、食品・調味料用の細口ガラス瓶(食調瓶)を製造・販売するガラス製品メーカーである控訴人(一審原告)が、同種のガラス瓶を製造・販売する被控訴人(一審被告)に対し、被控訴人の製造・販売する被告商品は控訴人の原告商品(SSF・SSE・SSS・SSI・SSGの5シリーズ)と形態が酷似しており、不正競争防止法2条1項1号所定の商品等表示の類似を理由とする不正競争行為に該当すると主張して、主位的に同法3条・4条に基づき被告商品の製造・販売の差止め、被告商品およびその製造用金型の廃棄、並びに3300万円の損害賠償およびこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに、予備的に民法709条の一般不法行為の成立を主張して同額の損害賠償等を求めた事案である。原審(大阪地裁)は、原告商品形態の特別顕著性と周知性をいずれも否定して請求を全て棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1)原告商品の形態が不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」に該当するか、すなわち形態の特別顕著性・周知性・被告商品との類似性・混同のおそれがあるか、(2)被控訴人の行為が民法709条の一般不法行為に該当するか、(3)差止め・廃棄請求の必要性、(4)損害額である。控訴人は、原告商品の累計販売本数約6014万本、高級品市場でのシェア、展示会での宣伝活動、及びガラス製品協同組合加入者58社を対象とするアンケート調査結果(被告商品5について16社中8社が控訴人の製造と誤認等)を根拠に、形態の周知性と混同のおそれを主張した。 【判旨】 控訴棄却。原告商品の形態は「縦長ですっきりしているが安定感に乏しい印象」という特徴を有し、ガラス瓶の典型的形態と比べ特徴的ではあるものの、甲15「調味料M200角」「ST150」、甲18「ゴージャス」シリーズ、甲19「サエ」「スイト」シリーズなど他業者の同種商品にも同様の特徴を有するものが認められ、独自性・特別顕著性を有するとはいえない。肩の張り方の差異によって受ける印象の違いも、縦長で安定感に乏しいという特徴の有無による違いに比べ大きくない。周知性についても、一般瓶市場で圧倒的販売実績があったとはいえず、高級品市場でのシェアを裏付ける資料もない。アンケート調査については、対象者の選定方法が不明であり、回答した16社のうち控訴人製造と正答したのは5〜9社にとどまり、これをもって出所表示機能や混同のおそれを認めることはできない。したがって不正競争防止法2条1項1号該当性は認められない。また、被控訴人が被告商品を一斉に模倣・販売開始したとの経過も認められず、自由競争の範囲を逸脱する著しく不公正な行為ともいえないから、一般不法行為も成立しない。