AI概要
【事案の概要】 漫画家である原告が、自身が著作権を有する同人誌漫画14作品を、被告会社が運営する複数の無料閲覧ウェブサイトに無断で掲載され公衆送信権を侵害されたとして、被告会社に対し不法行為(民法709条、著作権法114条1項)に基づく損害賠償金1000万円(内金請求)及び遅延損害金の支払を求めるとともに、被告会社の代表取締役である被告Y1と、前代表取締役Z(死亡)を相続した被告Y2に対し、法令順守体制整備義務違反を理由に会社法429条1項に基づき連帯責任を追及した事案である。原告は筆名「B」「C」及びサークル名「D」で同人誌即売会及び書店委託販売により漫画を頒布していた。 【争点】 (1)本件各漫画の著作物性、(2)原告の著作権者該当性、(3)被告会社による掲載主体性、(4)故意・過失、(5)信義則違反・権利濫用(違法な二次的著作物との主張)、(6)損害額(とくにページビュー数の認定方法、単位数量当たり利益、著作権法114条1項ただし書の販売できない事情の有無)、(7)被告Y1・Y2の会社法429条1項に基づく責任の成否。 【判旨】 裁判所は、本件各漫画は絵と文字を組み合わせ作成者の思想感情を創作的に表現した美術の著作物に当たり、筆名・サークル名の使用状況、印刷発注履歴、書店委託販売実績等から原告が著作権者であると認めた。被告会社は各ウェブサイトのドメイン取得者であり、広告代理店との契約主体であること、自社関連広告のみが直接埋め込まれていたこと等から運営者と推認でき、公衆送信権侵害について故意があると認定した。違法な二次的著作物との立証はなく信義則違反・権利濫用は成立しない。損害額については、シミラーウェブの推計結果は正確性の客観的担保を欠くとして採用せず、サイト上に表示されたPV数及びその平均値等から公衆送信数量を認定した上で、無料閲覧という特性から購入意図なく閲覧する者が多数存在することや実際の販売実績とPV数の乖離(約9分の1)等を考慮し、著作権法114条1項ただし書の「販売することができないとする事情」として9割の推定覆滅を認め、損害額219万2215円を認定した。被告Y1・亡Zについては、被告会社が従業員約30名の小規模会社で役員構成も長期不変であることから違法掲載を認識し又は容易に把握し得たとして、任務懈怠及び悪意又は重過失を認め、会社法429条1項に基づく責任を肯定し、被告らに連帯して219万2215円及び遅延損害金の支払を命じた。