公法上の法律関係等確認請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 死刑確定者として大阪拘置所に収容されている原告が、確定死刑判決について再審請求をしているところ、再審請求中の死刑確定者に対する死刑執行は違憲・違法であると主張し、被告(国)を相手に、行政事件訴訟法4条の実質的当事者訴訟として、再審請求中である限り確定死刑判決に基づく死刑執行に応ずる義務がないことの確認を求めた事案。原告は平成5年に大津地裁で死刑判決を受け平成12年に確定した後、第1次から第7次までの再審請求がいずれも棄却され、本訴提起後に第8次の再審請求をしている。 【争点】 (1)本件訴えの適法性。すなわち、法律上の争訟該当性、確認の利益の有無、行政事件訴訟による刑事判決の取消変更を求めるものとして不適法とならないか。 (2)再審請求中の原告に確定死刑判決に基づき死刑を執行されない法的地位ないし権利があるか否か(憲法31条・32条・13条、自由権規約(B規約)6条・7条、刑訴法475条2項ただし書の解釈)。 【判旨】 大阪地裁は、まず本件訴えの適法性を肯定した。本件は死刑執行義務の存否という具体的法律関係を巡る紛争であり法律上の争訟に当たる。また、法務大臣による死刑執行命令は発令後5日以内に執行され、事前に争うことが現実的に不可能であるから、確認訴訟は方法選択として適切であり確認の利益も認められ、確定判決の排除は別途再審手続で求めるものであるから最高裁昭和36年判決の射程外であるとして、訴えを適法とした。 もっとも、本案については、憲法32条の保障する裁判を受ける権利は独立・公平な裁判所における公開・対審による確定判決を受ける権利を意味し、非常救済手続たる再審の審理中に死刑が執行されても同条に違反せず、憲法31条・13条からも再審請求中の死刑不執行という法的地位は導出できないと判示した。B規約6条4項は恩赦・減刑に関する規定であり再審請求権を定めたものではなく、確定判決を経た執行はB規約6条1項の「恣意的」生命剥奪にも同規約7条の残虐・非人道的取扱いにも当たらない。刑訴法475条2項ただし書は6か月の命令期限の算入除外を定めたにとどまり、再審請求中の執行命令を禁ずる効果までは導かれず、執行を控える慣習が法的地位の根拠となる慣習法として確立しているとも認められないとして、請求を棄却した。 死刑制度の運用実務上、再審請求中の執行は慎重に控えられてきたが、本判決はこれを法的権利の次元では認めない立場を示したもので、死刑確定者の救済手続の在り方を考える上で参照される裁判例である。