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知財

特許権侵害行為差止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
令和1ネ10042
事件名
特許権侵害行為差止等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年2月26日
裁判官
大鷹一郎古河謙一岡山忠広
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、発明の名称を「会計処理方法および会計処理プログラムを記録した記録媒体」とする特許第4831955号(公会計向けの会計処理コンピュータシステムに関する発明)の特許権者である原告が、被告(会計ソフト開発会社)の販売する地方公会計向け財務書類作成製品(被告製品)は本件発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項・2項に基づく製造使用の差止め及び廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償2800万円の支払を求めた事案の控訴審である。本件発明は、従来の単式簿記・現金主義会計による資金収支計算書勘定(A)と、複式簿記・発生主義会計に基づく貸借対照表勘定・損益勘定(B1〜B7)に加え、国家の政策レベルの意思決定を記録するために「処分・蓄積勘定(損益外純資産変動計算書勘定)(C1〜C4)」を新たに設定し、これら3系統の勘定を「勘定連絡」により連動させることで、将来世代が負担すべき負債や利用可能な資源を一目で把握できるようにした点に特徴がある。原判決(東京地裁)は、被告製品は総務省「統一的な基準による地方公会計マニュアル」に従い、仕訳帳・総勘定元帳・合計残高試算表を経由して財務書類4表を作成するものであり、本件発明の構成要件B3(資金収支計算書勘定・貸借対照表勘定・損益勘定から処分蓄積勘定を作成・記録する構成)及びH(財源措置C2に社会保障給付が含まれるとの構成)を充足しないとして、請求を棄却した。 【争点】 (1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか、特に構成要件B3(「から」の解釈:基として作成するのか、勘定連絡を通じて作成するのかを含む)・H(社会保障給付が「財源措置」に含まれるか、それとも「純経常費用」に含まれるか)の充足性、(2)文言上非充足の場合に均等論により技術的範囲に属するか(本質的部分の認定、第1要件の充足性)、(3)無効の抗弁の成否、(4)権利濫用及び損害額が争点となった。 【判旨】 知財高裁第4部(裁判長大鷹一郎)は、控訴を棄却した。まず構成要件B3の「資金収支計算書勘定記憶手段及び閉鎖残高勘定及び損益勘定作成・記録手段から」の「から」は、文理解釈上「基に」を意味し、原告主張のように「との勘定連絡を通じて」と拡張解釈することはできないと判示。被告製品は、仕訳帳から総勘定元帳、合計残高試算表を経由して純資産変動計算書を作成する構成であり、資金収支計算書勘定や貸借対照表勘定・行政コスト計算書勘定を基として処分・蓄積勘定を作成しているとはいえないため、構成要件B3を充足しないとした。また構成要件Hについても、被告製品では社会保障給付が「財源措置(C2)」ではなく「純経常費用(C1)」に計上されているため非充足と認定した。均等論については、本件発明の本質的部分は、損益外純資産変動計算書勘定を他の勘定から作成・記録し、各勘定間の振替により当期純資産変動額を明確化することで政策レベルの意思決定を支援する点にあるところ、被告製品は構成要件B3及びHを充足せず、当該年度の政策決定による資金変動を明確化する本件発明の効果を奏するものと認められないから、本質的部分を備えず均等の第1要件を欠くとして、均等侵害も否定した。本判決は、地方公会計改革の中核である総務省「統一的な基準」に準拠した実務的なソフト構成と、特許クレームで要求される勘定体系の作成手順との対応関係を厳密に切り分けたものであり、ソフトウェア特許のクレーム解釈において「勘定連絡」等の会計学上の概念を借用した記載であっても、明細書及び特許請求の範囲の文言に即して客観的に解釈すべきとした点で、公会計・会計ソフト分野における特許権行使の射程を画する意義を持つ。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。