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知財

特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ34729
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年2月26日

AI概要

【事案の概要】 本件は、「抗折強度の高い薄型チップの形成方法及び形成システム」と題する特許第6276437号の特許権を有する原告(株式会社東京精密)が、被告(浜松ホトニクス株式会社)に対し、特許法100条1項及び2項に基づき被告製品の製造等の差止め及び廃棄を求めた事案である。 本件特許発明は、ウェーハ内部にレーザ光で改質領域を形成する改質領域形成手段、ウェーハの裏面を研削することで改質領域から延びた微小亀裂を表面に到達しない位置まで進展させつつ改質領域を取り除く研削手段、及びシートをエキスパンドする手段を備える薄型チップ形成システムである。被告はレーザダイシング装置用のレーザエンジン(被告各製品)を製造し、訴外株式会社ディスコに販売しており、同社はこれを用いてSDレーザソーを含むSDBG(Stealth Dicing Before Grinding)プロセス実行システムを製造販売していた。原告は、SDBGプロセス実行システムが本件発明の技術的範囲に属するとした上で、その構成要素であるレーザエンジンの製造販売は特許法101条2号所定の間接侵害(発明による課題の解決に不可欠なものの生産等)に当たると主張した。 【争点】 主要な争点は、(1)特許法101条2号の間接侵害が成立するか(とりわけ、被告各製品が「発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するか)、(2)本件特許が特許無効審判により無効とされるべきものか(明確性要件・サポート要件違反、先願主義違反、新規事項追加、冒認出願等)であった。本判決は、事案に鑑み、まず争点1-2(被告各製品の不可欠性)について判断している。 【判旨】 東京地裁民事第29部は、原告の請求をいずれも棄却した。 裁判所はまず、特許法101条2号にいう「発明による課題の解決に不可欠なもの」とは、従来技術の問題点を解決するために当該発明が新たに開示する従来技術にみられない特徴的技術手段について、その手段を特徴付ける特有の構成を直接もたらす特徴的な部材等を意味すると解するのが相当であるとの判断枠組みを示した。 その上で本件明細書の記載を精査し、本件発明の特徴的技術手段は、構成要件Bに規定される「改質領域が形成されたウェーハの裏面を研削することにより、改質領域から延びた微小亀裂をウェーハ表面に到達しない位置まで進展させつつ改質領域を取り除く研削手段」の構成にあると認定した。すなわち、本件発明の技術的意義は、既に内部に改質領域が形成されたウェーハの割断において、裏面研削により微小亀裂を表面到達させずにコントロールしつつ改質領域を除去する点に存するとした。 これに対し、被告各製品はあくまでウェーハ内部にレーザ光で改質領域を形成するための装置(レーザエンジン)であり、本件発明の特徴的技術手段である研削手段の構成を直接実現する装置ではないと判断した。原告は、レーザエンジンの性能・パラメータが亀裂の延び方を決定付けるから同製品も特徴的構成を直接もたらす部材に当たると主張したが、裁判所は、本件明細書にはレーザエンジンの構成・条件と本件発明の技術的意義との有意な関連性を示す記載がないとして、これを排斥した。以上より、被告各製品は「発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当せず、その他の争点(技術的範囲充足性や無効事由)を判断するまでもなく間接侵害は成立しないとして、請求棄却の結論を導いた。 本判決は、特許法101条2号の間接侵害における「不可欠性」要件について、発明の従来技術からの貢献部分(特徴的技術手段)を特定し、当該手段を直接実現する部材に該当するか否かで判断する枠組みを踏襲し、製造工程の一部にのみ関わる上流部品は、たとえそれが発明完成システムの構成要素であっても不可欠物に当たらない場合があることを示した事例として、実務上参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。