観察処分期間更新決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、公安審査委員会が平成30年1月22日付けで、「Aを教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」(本団体)について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)5条4項・5項に基づきした観察処分の期間更新決定(6回目の更新)に対し、本団体に含まれるとされた原告(宗教団体「ひかりの輪」)が、自らは「脱A」を進め本団体には含まれないと主張して、原告に係る部分の取消しを求めた事案である。 オウム真理教は、平成元年2月から平成7年3月までの間に、松本サリン事件(死者8名、負傷者143名)・地下鉄サリン事件(死者13名、負傷者約5800名)をはじめとする15件の組織的凶悪犯罪を引き起こした。宗教法人格は平成7年に解散命令を受け、平成12年1月に観察処分が開始された。平成12年に信徒団体「アレフ」(後のアーレフ、Aleph)が発足したが、平成19年3月にBを中心とする一派がアーレフから脱退し、同年5月に原告「ひかりの輪」を設立した。原告の設立後、観察処分は第3回から第6回まで4度更新されており、本件は6回目の更新決定を争うものである。なお、第5回更新決定については、東京地裁平成29年判決が原告に係る部分を取り消したが、東京高裁平成31年判決がこれを覆して請求棄却としていた。 【争点】 争点は、(1)原告が本団体に含まれるか、(2)原告を含む本団体が団体規制法5条1項各号のいずれかに該当するか、(3)引き続き活動状況を継続して明らかにする必要が認められるか、の3点である。 【判旨】 東京地裁は原告の請求を棄却した。 まず団体概念について、分派・独立や新団体の設立がされた場合でも、当初団体との連続性を有し「特定の共同目的」(無差別大量殺人行為の再発につながる多数人に共通する目的)を有すれば観察処分の対象団体に包摂されると解釈した。 原告の本団体包摂性については、①原告の前身であるアレフ設立自体がAへの帰依を保持したBによる教団存続のための仮装工作であったこと、②原告設立も、崇拝対象をシヴァ大神から三仏(弥勒菩薩・観音菩薩・釈迦牟尼)に変更するなどのより徹底した仮装工作の一環であったこと、③教本改訂後もオウム真理教の根本的思想は払拭されず、Aを再び前面に出せばタントラ・ヴァジラヤーナ等の反社会的教義を容易に復活できる状態にあったこと、④構成員の大半が元アーレフ構成員であり、「四つの柱」(教学・功徳・瞑想・イニシエーション)から成る修行体系や集団居住体制も継承されていることから、原告は本件共同目的を有し当初団体との連続性があると認定した。 団体規制法5条1項該当性については、Aはサリン事件の首謀者であり本件更新決定時にも原告への影響力を有するとして1号該当、Bは地下鉄サリン事件当時に正大師(4名のみ)の地位にあり団体の意思決定に関与し得る立場にあったとして3号該当と判断した。さらに、立入検査での資料隠匿や報告書への不正確記載、マインドコントロール可能な修行体系の存続等から、引き続き活動状況を明らかにする必要性も認められるとして、本件処分を適法と結論づけた。